鉄刀木(タガヤサン)は、樹高15~18メートル、直径30~40センチメートル、太い物で60センチメートル近くなり、成長の早い樹木と言われています。産地はタイ・ミャンマーを中心に、天然分布林として生育しています。この木は、鮮黄色の花の美しさが有名で、街路樹としてアジア各地に植林されてきました。材の辺材は鮮黄色、日時を経ると灰白色に変化し、心材は製材時暗褐色をしていますが、早く黒褐色になり、渋い色彩年輪杢目の妙見があり、早くから美術工芸用材として、中国・日本でも陸路・海路を使い渡って来た材として有名です。

本鉄刀木(タガヤサン)について

用途

高級建築材、高級家具材、装飾造作材として使われ、日本では古くから指物材。象嵌美術材としても有名です。

分布国

植林により今まではインド・インドシナ・フィリピンなど熱帯モンスーン気候地域に分布しています。この材に一番近い材は、南米ガイアナ・ブラウン・ウッドや、ブラジルの南米タガヤサン(スクピラ)等がありますが、比較すると東南アジアのタガヤサンに軍配は上がります。

黒褐色の渋い杢目を有した本鉄刀木(タガヤサン)の素材

黒褐色の渋い杢目を有した本鉄刀木(タガヤサン)の素材

本鉄刀木(タガヤサン)の素材は、黒褐色の渋い杢目を有します。

ステッキとしての鉄刀木(タガヤサン)

渋い黒褐色の中に、淡色の縞模様があり、耐久性が高く、明治来ステッキとして多く用いられて来た材です。難点といえば、杢に添ってタテ筋の細かい交錯部が全体にあり、下地処理で、No600~No1000番近いサンドペーパーを用いる事で、目止め処理に手間が掛かると言えます。

ステッキ用に木取りされた本鉄刀木(タガヤサン)の素材とステッキの王道、大曲り・中曲りステッキ製品

ステッキ用に木取りされた本鉄刀木(タガヤサン)の素材とステッキの王道、大曲り・中曲りステッキ製品

写真を拡大して御覧下さい。この材が持つ渋さに魅了されます。

よくある質問と回答

Q:なぜタガヤサンと呼ばれるのですか?

A:元々タガヤサンはフィリピン語の”タンブリアン”の訛(なまり)から来ていると言われています。しかしフィリピンでは、タガヤサンは産出しません。古い時代より、通称ボルネオ鉄刀木と呼ばれる楠の木科の物を指し、海路時代にタガヤサンに変化したと思われます。

Q:なぜ”鉄刀木”と書いてタガヤサンと読むのですか?

A:鉄刀木は、漢名です。本種の材の杢目が剣(つるぎ)、刃(やいば)が重なっている杢目の模様がある事から、しかも暗黒褐色をしていた為と言われています。フィリピンの現地名と漢名が同時に日本に入って来た為、”鉄刀木”と書いて、「タガヤサン」と読む事になったと言われています。

Q:なぜタガヤサンは日本で評価が低いのですか?

A:日本において、本紫檀縞紫檀花梨等、赤系の材が歴史的に飛鳥時代から工芸品として日本に入って来ていて、その流れが日本人の美的評価に継っています。黒褐色の材は、江戸後期、明治以来、同時期に入って来た唐木に比べて、その色彩から利用は少なく、本格的に入荷して来た明治中頃は高級建築材としての地位はありましたが、その後、値段が張る高い物が強く、例えばブラックジョークとも取れない豪農の高級普請の際、”農業に大切な田畑を耕す”文化を”耕やさん(タガヤサン)”と重ね言葉を使い、業者自から高級材を勧めた感も有り、銘木業界も安普請の床柱として定着した悲しい歴史もあります。現在材は、枯渇し、径70センチメートルを越える材が無くなった今、タガヤサンは、中南米材のタガヤサン以上の価値が有り、見直す時期に来ています。

材の断面図

材の断面図

材の断面図

材の断面図

タガヤサン(アンカン)の原木丸太

タガヤサン(アンカン)の原木丸太

本場タイで、”タガヤサン”と言っても通じません。現地名は、”アンカン”と呼ばれます。丸太はいたって細口です。白太は虫害の為、現地で全て剥がされます。写真の材は30~40センチメートル径の材です。切断面は、黒檀のように縞模様の年輪があります。今日高く積まれたタガヤサンの原木は夢の又夢です。

木族の会(樹種辞典)

ステッキの材料となる様々な貴重な樹種についてご説明いたします。

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