黒檀は、イギリスではエボニー、フランスではエベヌ、ドイツではエーベンホルツ、中国では烏木(からすぼく)や烏梅(からすうめ)と呼ばれます。日本では紫檀ありきで、古くより伝わっており、紫に対して黒と言う事で、黒檀(こくたん)と呼ばれます。

黒檀について

黒檀の檀(たん)とは

中国では歴代皇帝及び権力者だけが使う事が許された材の末尾には、必ず”檀”が付けられたと言います(例:紫檀黒檀縞紫檀、黄檀、紅木紫檀 等)。

黒檀の産地による大曲り品

写真①:黒檀の産地による大曲り品

大曲り品ステッキと産地別のハンドル黒檀

写真②:大曲り品ステッキと産地別のハンドル黒檀

種類

黒檀が属すかきのき属の樹木は、世界に480種類も存在します。日本の黒柿、アメリカのパーシモンもこの中に入ります。この種は特に熱帯の東南アジアを中心に分布します。黒色の縞目や、黒い芯材を持ち合わせた材の総称が黒檀(こくたん)です。

黒檀の種類

黒檀の種類

  • ①本黒檀(真黒:まぐろ)
  • ②縞黒檀(しまこくたん)
  • ③フィリピン縞黒檀(カマゴン)
  • ④青黒檀(あおこくたん)
  • ⑤斑入黒檀(ふいりこくたん)

①本黒檀(真黒:まぐろ)

本黒檀は、印度黒檀(インドこくたん)、錫蘭黒檀(セイロンこくたん)、真黒(まぐろ)と呼ばれ、原木の切り口を見ると、黒一色の貴重な材です。インド南部、スリランカ(旧名セイロン)に分布し、比較的乾燥した地域に分布します。インドでは、大径材は少なく、大径材はスリランカの樹高30~40メートル、径70~90センチメートルの材がかつては出材、出荷したと言われています。1900年代以前は、年間1,000t(トン)以上、最大出荷2,600t(トン)を記録した事もあり、中国、イギリス、ドイツへの輸出が多かったとされています。戦後からは、一気に出荷量が減り、年間300t(トン)以下になりました。この材の成長は著しく遅く、径が60センチ成長するのに、約250年はかかると言われています。この材の系統に、日本の琉球諸島に産する八重山黒檀(やえやまこくたん)があります。現在スリランカ産黒檀真黒の最大床柱(4メートル×30センチメートル×30センチメートル)が、東京新木場ウガイ銘木店が在庫しています。この材の出荷はまったく無く、現在アフリカ黒檀(エベヌエボニー)、ブラックウッドが代用として、ヨーロッパに多く輸出されています。

②縞黒檀(しまこくたん)

縞黒檀は、スリーキーエボニー、条(しま)黒檀、中国では間道烏木(かんどううぼく)とも呼ばれます。現在一般に黒檀と言えば、戦前から日本ではこの材を指します。インドネシア(ジャワ島)、マレー半島全域、ボルネオ島、特にインドネシア(セレベス島)から産するマカッサルエボニーが有名です。マカッサルとは、インドネシア南スラウェシ州の都市、ウジュンパンダン市の事です。

縞黒檀

写真①

写真①:貴重な写真をお借りしてきました。正に縞目の黒檀です。伐採してから日時が経っていて、灰色の皮目が黒色で、立っている時すぐにわかるそうです。中国で烏木(うぼく)と言われる理由がわかります。

縞黒檀

写真②

写真②同じカキ科なので、縞目模様が細かく、日本の黒柿の上物材を見ているぐらい似ています。

以下の木魂の杖(オーダーメイドステッキ作品集)にて縞黒檀を使ったステッキをご紹介しています。

桑、縞黒檀、銀細工による着せ替えができるステッキ

③フィリピン縞黒檀(カマゴン)

縞黒檀(しまこくたん)の中で特にフィリピンで産する黒檀は、ディスコロール・ワイルドがあり、現地木材市場では、”カマゴン”と呼ばれています。年輪が一般の黒檀より全体的に足りず、丸太時より小割れ、千割れが多いと言われますが、今日では貴重な縞黒檀として大事にしなければなりません。産地国のフィリピンでは、最高の黒檀で、家具、細工物、彫刻材に用いられます。このディスコロールのフィリピン黒檀は、台湾にも分布していて、日本では毛柿(けがき)と呼んでいます。

④青黒檀(あおこくたん)

青黒檀は、グリーンエボニーとも呼ばれ、全体が緑色で、材の道管中に緑色の物質が含まれていると言われています。日本の黒柿の孔雀杢(くじゃくもく)と同じで、緑色の色彩は経年変化後は柿と同じく消えてしまいます。

日本ではなぜ青黒檀と言われるか?については、信号機の例を取ると、赤は赤、黄は黄、緑は青と呼びます。緑信号とは言いません。反対にしっとりとした日本女性の黒髪を緑の黒髪と表現します。和の色の辞典によると、緑青色(ろくしょういろ)・器の代表青磁色と呼び、青み掛かった色すべて、青緑(あおみどり)と呼びます。見本の青黒檀も黒味が強い材に見えますが、製材時はもっと緑が強い材だった訳です。

青黒檀

青黒檀

青黒檀

青黒檀

上記青黒檀の写真を見ると、年輪も細く黒檀とは思えませんね。材だけなら正に緑檀です。

青黒檀は、タイ北部から中部にしか産しません。樹高27メートル、径50~70センチメートルの出材があったと記録にあります。タイの産出量は、戦後まもなく436t(トン)をピークに、1970年にはわずか5t(トン)、1973年には21t(トン)を最後に、現在まで出荷は無く、保護樹木に指定されています。その他インドネシアやインドにも、僅かながら産出があると言われています。

⑤斑入黒檀(ふいりこくたん)

斑入黒檀(ふいりこくたん)は、マーブル・ゼブラエボニーとも言われ、大理石に似たマーブル状の杢目が美しい黒檀です。紫系の地に、黒系の縞模様の中に斑(ふ)が入っているものを言います。この材はインドの東、マレー半島の西側隣に位置するアンダマン諸島から産出される材が最高と言われていますが。しかし分布備蓄材が極めて小さい面積の島々なので、日本に入荷したのもほんの僅かと言われています。この材に似た斑入では③で紹介したフィリピン産の黒檀から近い材が出ると言われていて、フィリピン・カマゴン材が明治期以前より、薩黒材(さつこくざい)として日本に入っていたと言われています。薩摩藩が江戸時代より、琉球との貿易により入荷していたと言われています。当時アンダマンレッドウッドと呼ばれる紅花林は、 赤手色彩の強い花林材を指します。

価格

黒檀を価格が高価な順番に記載すると以下の通りとなります。

  • 一番:黒檀(真黒:まぐろ。材があればアンダマン斑入黒檀)
  • 二番:青黒檀(あおこくたん)
  • 三番:縞黒檀

利用用途

黒檀の利用用途は、建築内装材、床ノ間材、床寄木張り装飾部材、家具、キャビネット、キューの石突き、バイオリン、オルガン、ピアノ部材、カスタネット、オーボエなどの楽器部材、ツキ板は、用途が広がります。使用の歴史は古代エジプトに始まり、ペルシア、インドの古代王朝の特に家具材、彫刻材に用いられてきました。

ステッキとしての黒檀

現在ステッキ店で流通している黒檀ステッキは、その多くが主にアフリカ黒檀です。日本でも身近では、お仏壇、数珠に至るまで、アフリカ系黒檀で製作されています。ラカッポでは、来歴をしっかり確認した東南アジア、インドを中心にした、大航海時代よりヨーロッパを中心に東洋に憧れを抱くような材を逆に製作しております。

黒檀

写真①

写真①は、日本の黒柿に見間違えるような滅多に出材しないインドネシアセレベス島産の縞黒檀と、この材から製作された黒檀大曲りステッキです。

黒檀

写真②

扱う黒檀はもちろん良材(A、B)です。Cは、黒柿のような杢目を持つ黒檀です。長らく黒檀を扱ってきた業者も驚きを隠せない大変貴重な黒檀です。

よくある質問と回答

Q:海外へ黒檀を直接買い付けに行った事や現地の写真はありますか?

A:貴重な写真をお借りしてきました。1980年代終わりには、日本向けの黒檀の良材がまったく入荷しなくなり、やむおえず当時政治不安が残る誰も行かなかった地域、パプアニューギニアの奥地へ黒檀を求めて買い付けに行った時の写真です。

パプアニューギニア

写真①

  • A:湾から10km離れた丘より見た写真です。
  • B:上陸した名も無い湾。後ろに深いジャングルが続きます。

写真①は、旧日本陸海軍の飛行場があったポートモスビーから海伝いに8時間近く行った無名の内湾の写真絵に描いたような青空とコバルトブルーの海です。誰も踏んだ事が無い白浜が続きます。

黒檀の伐採現場

写真②

黒檀の伐採現場

写真②

写真②は、10キロメートル以上内陸へ入った黒檀の伐採現場です。皆伐方式一括買上げで、当時の価格で○千万円です。写真中央に写る地下足袋姿は、私の友人のウガイ銘木の現社長の若い頃です。こういう場所まで買付けに行っていたと聞くと、現在材が無い黒檀は、大切に使わないといけないと改めて思います。集収家と蒐集家は読みは同じですが、その違いは正に草の根を別けても、目的の物を探し求める草辺が付く鬼の表性、蒐(き)材に対する気迫を感じます。

黒檀(こくたん)のご紹介は以上です。続いてココボロをご紹介いたします。

木族の会(樹種辞典)

ステッキの材料となる様々な貴重な樹種についてご説明いたします。

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