竹類「寒竹(かんちく)・煤竹(すすだけ)」についてのご紹介です。

竹類「寒竹(かんちく)・煤竹(すすだけ)」について

ステッキと竹と聞かれると、まずドラマに出て来る水戸黄門が携える頭の部分が大きい(亀甲竹(きっこうちく)・布袋竹(ほていちく))が頭に浮かびます。又、喜劇王チャップリンが持つステッキ(日本静岡産)や、マニアックな所では、俳人松尾芭蕉が用いた(奥の細道)、布袋竹の現物が最近出て来て話題になりました。

竹の分類

竹類は、中国のパンダが食する笹竹も含め、世界では1,500種以上有り、日本では渡来した竹(孟宗竹)を含めると笹類も含む、実に600種が全国に分布しています。中にはアフリカザンビア産イエローバンブー材を部品(フレーム)に使った自転車もあります。日本でも早くから竹の利用は生活叶品含め、古来より使われて来ました。日中戦争の頃、鉄資材の不足から自転車のハンドル材に竹を使用した例があります。

話をステッキに戻しますと、インドネシア産のマラッカ籐(とう)も、厳密には竹類に属します。ステッキ素材としては寒竹(かんちく)・竹類の地下茎・実竹(じつちく)を曲げた物が有名です。ラカッポでは、煤竹(すすたけ)を利用したステッキも試作しています。

日本を代表する竹

銘竹・竹類をすべて網羅して紹介は出来ませんので、割愛させて頂きますが、日本を代表する竹のみピックアップして紹介致します。

竹には真竹(またけ・男竹)属があります。代表には孟宗竹(もうそうたけ)・真竹(男竹)(またけ)・破竹・淡竹(はちく)・布袋竹(ほていちく)・亀甲竹(きっこうちく)が代表です。

日本を代表する竹

写真A:日本を代表する竹

写真Aの①が真竹(男竹)、③が真竹の煤竹(すすたけ)です。竹類の中に女竹(めたけ)を代表するグループがあります。写真Aの②が女竹・苦竹(にがたけ)・篠竹(しのたけ)・矢竹(やたけ)・清水竹・川竹(かわちく)・地方名が多い笹竹(ささたけ)類に2分されます。

  • 写真Aの①は、真竹・竹刀(しない)・弓(ゆみ)・尺八・物差し・花器にも使われます。
  • ⑤⑥はステッキ業界では、寒竹(かんちく)と呼びます。真竹類の地下茎を掘り出し曲げた物です。
  • ④ステッキ左は、竹の業界では寒竹(かんちく)、又は清水竹と呼ばれ女竹のグループの竹です。
  • ⑦はステッキに曲げた真竹の絞(しぼ)が見られる珍しい絞竹の小曲りステッキです。
  • ⑧は真竹や孟宗竹の皮の身の細い材で編み込み、表面に赤・黒の漆を塗り研ぎ出し加工を施した珍しい籃胎(らんたい)塗りステッキです。

女竹(めたけ)のグループは、地方独特の呼び名が有り、横笛・矢・ザル類や生活用具に使われるケースが昔より多く使われました。

煤竹(すすたけ)

写真B:煤竹(すすたけ)

写真Bは、煤竹(すすたけ)です。古い農家(200年~400年前)の家の中に棟木(むなぎ)・棰木(たるき)・屋根(茅・藁(わら)覆)の裏に使用する内装の竹類が毎日の囲炉裏(いろり)の煮炊きの際発生する煙により煤状になった竹材を煤竹(すすたけ)と総称します。

写真Bの①②③は、大小の煤竹です。太くて割れが無く縄を巻いた跡など景色有る上質の煤竹は、歴史有る農家や何百年も続く農家解体品が近年まったく出材しない傾向にあります。

④は煤竹をシャフト(中にステンレス棒で補強して有る)上に象牙・石突き共本象牙・竹垣銀細工(925)を施しためずらしいステッキです(税込55万円)。節の間隔がステッキに適している事、古材でも真直な物は滅多にありません。古い農家の解体品を買い付け、太さ・直材・景色の良物を探すと数本しか取れません。

煤竹をシャフト(中にステンレス棒で補強して有る)上に象牙・石突き共本象牙・竹垣銀細工(925)を施しためずらしいステッキです(税込55万円)

写真C:煤竹をシャフト(中にステンレス棒で補強して有る)上に象牙・石突き共本象牙・竹垣銀細工(925)を施しためずらしいステッキです(税込55万円)

煤竹にも太さや(割れ・虫喰いの有無等により)ランクがあります。何百年前、竹を刈ったまま煤竹になった物と刈ってから曲りを矯めた(ためた)物や、一度油抜き(当時二次加工)をした物(地方の庄屋に多い)が煤竹になった物が極上品となります。又煮炊きに使用する薪(まき)は、松を多く使った物が最高で、次に藁(わら)・山間部の物は良品が少ないです。

煤竹はこのように煤状になった竹を示しますが、良品はこのような付加価値条件が付いた煤竹を言います。近年煤竹が極端に減少している為、人工的に燻した(いぶした)商品も出廻っていて、人工煤竹を略して人煤(じんすす)と言います。今では素人目にも判別が付かない程、技術が高くなっています。

茶道具に使われる竹類

写真D:茶道具に使われる竹類

写真Dの様に、竹類は昔より茶道具にも使われています。花器・茶筅(①は煤竹製)・柄杓(ひしゃく・真竹製)です。②③の様に煤竹の根の部分の景色が有る物は、高級花入れの花器に珍重されます。

寒竹(かんちく)のステッキ曲り品

写真E:寒竹(かんちく)のステッキ曲り品

写真Eの様に、真竹類の寒竹(かんちく)のステッキ曲り品は、戦前から採集、曲り加工までしていた方のお話が聞けましたので、次の機会に投稿したいと思います。

竹類(寒竹・煤竹)のご紹介は以上です。続いてタモ(梻)・ヤチダモ(谷地梻)をご紹介いたします。

木族の会(樹種辞典)

ステッキの材料となる様々な貴重な樹種についてご説明いたします。

木族の会(樹種辞典)

ステッキ専門店【ラカッポ】について

ラカッポは、おしゃれなステッキ製作を手がけ国内外のお客様からご好評を得ている東京新木場のステッキ専門店です。株式会社山安によってプロデュースされています。ステッキのあらゆるオリジナルデザイン、意匠(銀細工・象牙彫刻・宝飾)に到るまでオーダーメイドによる製作を承ります。アンティークステッキ、思い出のステッキの手直しについても修理を承っております。

会社概要

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