花梨(かりん):左からコブ材、製品、柾材、杢材

花梨(かりん):左からコブ材、製品、柾材、杢材

花梨はマメ科の植物です。銘木業界でいう花梨(かりん)は、原産国タイ(プラトウ)、ビルマ(パタウク)と呼ばれているプチロカルプス科の材です。古くから中国を経由して日本に入ってきた紫檀黒檀と共に珍重された材で、古くは東南アジア、イスラム諸国の王座、日本では高級家具材として、キャビネット・テーブル・椅子・ツキ板などに使われています。また、三味線(楽器)の棹や胴材にも使われています。

花梨(かりん)について

産地

もう一つ花梨(かりん)と呼ばれているのは、中国原産の園芸種、カリン酒が有名なバラ科のボケで、花櫚(かりん)と書きます。更にややこしいのは、タイ、ビルマ、ラオス、ベトナム以外の太平洋広域に分布する植物学上プチロカルプス・ワイルド(このワイルド)が付いた種です。ボルネオ、フィリピン、ジャワ、ニューギニア等に分布しています。フィリピンのナーラ材が有名です。

日本では、新カリン、南洋カリンなどと呼ばれ、色を付けて紅花林として売られている物もあります。

タイ、ビルマ、ラオス、ベトナム産をあえて本花梨と呼び、産地により黒味の強い物から、赤味の薄い材(マーカ)と呼び、ランク別にしています。

花梨の瘤

花梨の瘤

写真①:花梨の瘤

花梨の瘤を輪切りにした材

写真②:花梨の瘤を輪切りにした材

写真①のコブは小さい方で、人の倍以上の高さがあった物が出たと言われています。本花梨の幹や根枝にコブ状の物が高齢樹木の中に見られる物を花梨コブと呼び、輪切りにされ小さい物は花台や、大きな物は応接間やリビングの大テーブルまで利用されます。

写真②は、コブを輪切りした材で、杢目の細さが100円硬貨以下の小さな杢目、黒小豆(くろあずき)杢が現れた最上の花梨です。

使用例

花梨のテーブル材

写真①:花梨のテーブル材

花梨の床柱、地板類

写真②:花梨の床柱、地板類

名栗加工を施した板畳

写真③:名栗加工を施した板畳

大径材より得られる材は、①キッチンテーブル材として(邸宅用材)。②床の間の床柱、地板類に広く使われてきました。③花梨の板に名栗加工を施した板畳使用例です。

花梨は、贅沢に高級邸宅材として使われてきました。

ステッキ

花梨のステッキ用材料

花梨のステッキ用材料

ラカッポでは、花梨材の柾材①:チヂミ杢が連なっている物、板目では②:玉杢の細かい物を選び抜いて大曲りステッキを製作しています。いくら杢の良い大柄な玉杢材は、径3センチメートルのシャフトの中に納まらず、バランスの悪いステッキになります。玉の大・中・小の扱いは難しいです。

③製品は、スネークウッドの虎目と同様な杢目が現れる事があります。
④100円硬貨より、細かい玉杢を使用したセパレート型のハンドル部分です。

木に失礼ですが、ただの花梨材は、ラカッポでは使用しません。あくまでもステッキ1本に杢目の小宇宙を目指します。

本花梨、材としての今後の見通しは暗いです。現在タイではコブ材も含めて伐採輸出禁止になっています。1980年をピークに、年間(56,000㎥)近く輸入されていた花梨ですが、今では一部の唐木商(からきしょう)のストック材と、たまに市場にコブ材が出品される程度です。今では中国人バイヤー(中国では赤い色を好む国民性と富裕層向けの高級家具用材が不足していて)により、ここ5年(花梨、紫檀、紅木類)積極的に買い漁る状態が続いています。

今後本花梨は、ますます貴重な材の一つとなりました。

よくある質問と回答

Q:花梨材の何かエピソードはありますか?

A:昭和58年頃、小平市喜平町にある有名な新建材問屋の本社ビル、完成パーティーが新宿京王プラザホテルで開かれました。五月みどりの妹、小松みどりがイベント歌手として何曲か唄った事があります。私の座ったテーブル間近で唄っている着物姿は、艶やかで美しいの一言です。その後、二次会を小松みどりが経営する新宿のクラブへ行く事になり(ファンの招待者が沢山居たため会場で出席抽選会がありました。)、店内に入って驚いたのは、バーカウンター、各テーブルが全て花梨コブ等、全て玉杢尽くしで、見るからに高級クラブでした。このクラブは、週刊誌で日本一ゴージャスなクラブとして紹介された事があります。思わず財布の中を改めたり、材料の総額を頭の中で計算したのを覚えています。

Q:花梨のコブ材を活用した例はありますか?

A:大きな花梨コブ輪切りを大胆に店舗看板にした礼です。

創作串焼サムライ門前仲町店、店先に掲っている看板です。知人という事もあり相談され、店舗設計から内装すべて任された工事です。土地柄”木場”が近いので、輪切りテーブル材が50万~100万していた時代です。今まで都内で作例が無いので、思い切って設置した物になります。オープン以来、繁盛している様子です。

花梨コブの看板

写真①:花梨コブの看板

花梨コブの看板デザインイラスト

写真②:花梨コブの看板デザインイラスト

写真①:庇(ひさし)がある為、残念ながら本体が見へ掛かりしていますが、大きさが分かるかと思います。出窓部分に建築に携わった連業者の”招き板”がオープン時並びました。

写真②:デザイン、彫刻、字体、顔料色合わせ等、いろいろアイディアを出して決定した花梨コブのデザインイラストです。

花梨(かりん)のご紹介は以上です。続いて桐(キリ)についてをご紹介いたします。

木族の会(樹種辞典)

ステッキの材料となる様々な貴重な樹種についてご説明いたします。

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