ブビンガの中でも細かい杢目のステッキ材

写真①:ブビンガの中でも細かい杢目のステッキ材

ブビンガは、ギフルティア属(マメ科)の樹木が分布している地域差や育成条件によって、木の大小が異なります。樹高20m~45m、直径80cm~1.6mが平均サイズの大径木です。かつては、直径2m~3mある材も出材されていたと言われています。アフリカのナイジェリア南部からカメルーン、ガボン、ザイールの中北部に分布する同種(呼び名:ケバジンゴ)と混成林となる分布地域もあります。

ブビンガについて

写真①のように、芯材は濃棑褐色(深緋色)~赤褐色(唐花色・栗皮茶)に濃い紫色の節目が入っている材です。大径材の杢目のすばらしさは、ケバジンゴに軍配が挙がります。

使用用途

用途としては、家具、キャビネット、室内壁面(ツキ板として需要が多い)、当初は巾広材が得られる事から、家の広緑、廊下1枚板張りや、テーブル、カウンター、座卓に広く使われ、特別杢の良い物は床柱、床廻りに使用されました。この材の太さに目を付けた分野があります。大太鼓に使われていた欅(ケヤキ)材不足から、いつしかこの材をじっくり乾燥した和太鼓が多く造られました。

例として、東京明治神宮には直径1m50cm、東京府中市大国魂神社には直径2m40cmの大太鼓、岐阜県飛騨高山の”祭り森”にある太鼓は、直径2m73cm、重さ4.5t(トン)クラスもあります。

地方の太鼓祭り山車に、欅(ケヤキ)からブビンガに大きく変わりつつの時代です。

現在、あれほど入荷していた材ですが、日本では姿を消していた(実際は各販売店の倉庫に売れずに山積みになっていた)時代がありました。イタリアを中心にヨーロッパでは、ツキ板として早くから大事に家具用材として多く需要もあり、着色の技術が伝統的にあり、ブビンガの地位は最初から高く評価されていた事が日本の扱いと違う所です。

平成20年からのブビンガ

ここ10年、韓国「自国では大きな材が植生していない」、中国「経済発展に支えられ、また国民性で赤い色の材を好む」との理由があり、販売店に反りや割れ、捻れのクレームが多くあった材(日本中出廻り過ぎた材として)売れ残っていたブビンガ材が海を渡る事になりました。また前後して、日本産ケヤキ材も細材も含めて、フローリング材を中心に大量に市場でバイヤーに買われています。この事は、銘木業界に取ってブビンガに対して大きな罪を作ってしまいました。

輸入時からろくに乾燥させず、どんどん需要にまかせ販売した結果、価格も暴落しました。我国と異なり、欧米ではツキ板を中心に大切に材の評価を高めていった結果の違いです。今では欧米が産地国から買付段階で安く売っていた日本の輸入業者は、太刀打ちできません。また材も大きな原木から切った為、今では輸出禁止の動きが出ています。この材にローズウッドと呼ぶ人が誰もいなかった時代、早くから欧米ではアフリカン・ローズと「ローズ」の冠を付けました。この差から、先を見通した欧米の凄ささえ感じます。

ステッキとしてのブビンガ

最初にアフリカン・ローズとかスターローズと私が名付けたのは、もう一度この材の良さを再発信する事に始まります。事実若い頃、この木に仲間で”アフリカの星”と名付けた事があります。これからは「アフリカン・スターローズ」と呼んで下さい。

ステッキとしては、優良材なのですが大きすぎる事です。ステッキでは、1m50cm×3cm丸の中にいかに納めるかが問題です。写真②は杢として最高で、巾いっぱいにあると目を引き豪華です。

写真③④は、ステッキに適したブビンガの原板と製品です。ハンドルや大曲りステッキは、3cm径に見事に杢が乗ったステッキです。

ブビンガの代表的な杢目柄

写真②:ブビンガの代表的な杢目柄

ステッキに適したブビンガの原板と製品

写真③:ステッキに適したブビンガの原板と製品

ステッキに適したブビンガの原板と製品

写真④:ステッキに適したブビンガの原板と製品

材の入荷は、ワシントン条約規制対象材で今後望めません。日本に入荷したブビンガは、ステッキとしては難しい材で、ただの杢の無いブビンガ材ならいくらでもまだ材はありますが、良材は今後望めない材の一つです。

ブビンガでこのような細かい杢目は、見た事がありません。更に小豆杢。銘木で小豆杢が現れたのは、紫檀インドローズメキシカンローズ黒柿、ホンジュラスローズとアフリカンローズの6例です。写真④Aが小豆杢で曲げた作品です。

ブビンガの小豆杢(あずきもく)

写真⑤:ブビンガの小豆杢(あずきもく)

よくある質問と回答

Q:日本で初めてブビンガに目を付けたのは誰ですか?

A:日本で初めてブビンガに目を付けたのは、東京江戸川㈱マツギ工芸です。自らアフリカの現地へ出向き、ヘリコプターを使い伐採する木を決めていたそうです。

輸入したブビンガ材が船橋の置場がいっぱいになり、とうとう千葉港の埠頭一つを全面借り切ったぐらい入荷がありました。

この方は、一財産を築いた後、ラオスに向いラオス桧材も手掛けた人で有名です。

Q:ブビンガにまつわる過去のクレーム事例はありますか?

A:巾広材が取れ、比較的安価であった為、30年~40年前は、飛ぶように売れたそうです。北は北海道から、南は九州に至るまでもう売る地域が無いと、当時のトラック輸送担当者が言っていました。そこまでは良かったのですが、入荷した材を製材したそばから発送したので、乾燥と言う銘木屋に取って重要な事を怠たりました。捻れ、割れ、反りというクレームがいたる所で発生しました。私も驚いたのは、巾1800mmの板を廊下に取り付けたら、廻りの柱を引っ張り込み、家が傾いたですとか、ブビンガで製作された座敷テーブルを新築祝として、当時5万~10万円で携わった工務店、職方一同の祝品として数多く出荷されましたが、乾燥不十分で、食器を置いたら食器が傾いたとか、テーブルに置いた酒の銚子がだんだん傾き、テーブルが”へ”の字に曲り倒れたとか?笑えないクレーム話が多くあったブビンガ材ですが、今では乾燥が10年~20年以上経った製品が多く、今ではお買得な材とも言えます。

ブビンガのご紹介は以上です。続いてフェルナン・ブーコ、ブラジル・ウッドをご紹介いたします。

木族の会(樹種辞典)

ステッキの材料となる様々な貴重な樹種についてご説明いたします。

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