ブラジルの国名は、”赤い木”のポルトガル語の意味から呼び名になった。この木は、ポルトガルの現地語・南米スペイン語圏等、数々の名前を持った樹木です。ブラジルの国名に因んだブラジル・ウッド、パオ・ブラジル。染料として取材をした土地名フェルナン・ブーコ、フェルナンブコ・ペルナンブコとも呼ばれます。

フェルナン・ブーコ、ブラジルウッドについて

樹高10m~15m・系30cmを中心に、50cm~60cmも稀に出材されます。現地日本には、原木等輸入はありません。ブラジル本国では伐彩過多による材の枯渇が続いていて、植林事業が始まってまだ間もない2007年に、ようやくワシントン条約の網に掛かった次第です。分布は、ブラジル大西洋側、現在セアラ・リオグランデドノルテ・パライバ・ペルナンブコ海岸から150km内陸部のわずかな地帯に分布しています。かつては、マラニヤン・ピアウイ・バイア各州でも、比較的分布していた樹木ですが、現在は枯渇したとされています。

大航海時代、ポルトガルが現在のブラジルを1540年に発見し、この木から黄色の染料が取れる事に目を付け、18世紀中頃に化学染料が取って変わるまで、イギリスが赤い染料として、インドから紅木(こうき)・スオウを根こそぎ持ち帰ったと同じ運命の材です。ブラジルウッドは、ジャングルが深かった事と陸路の整備が遅れた事が起因して、材が残り幸いでした。

用途

現地ではネイディブインディアンは、槍・弓・舟の櫂などに利用されていて、後にバイオリン等の弓材・工芸品・装飾品などにも使われます。

ステッキとしてのフェルナン・ブーコ(ブラジル・ウッド)

フェルナン・ブーコの大曲りステッキ

写真①:フェルナン・ブーコの大曲りステッキ

この材は、今から20年程前に買った長材(1m80cm)3本の内の1本です。残り2本の内1本は、バイオリン演奏家に買っていただきました。素材をお見せしたいのですが、長材の輸入がまったく手に入らず手持ちの最後の1本です。素材は黄色で何の変哲もなく、魅力が無い木だと本心では思っていましたが、出来上がりの色の変化には驚かされました。黄色から赤褐色・淡い飴色に変化し、何とも言えぬ色彩です。日本の色ですと、代赭色(たいしやいろ)でとても上品で、四季を通して使えるステッキ材です。

フェルナン・ブーコの大曲りステッキ

写真②:フェルナン・ブーコの大曲りステッキ

写真②を拡大して見て下さい。南国の空の下にピッタリな色彩です。サンタナのブラジル音楽が聞こえそうな材・セルジオ・メンデスかも(フェルナンブーコ・ブラジルウッド)?

よくある質問と回答

Q:ブラジル・ウッドで何かエピソードはありますか?

A:この材にはこの人の事を語らなければなりません。18世紀の弓(バイオリン)製作者・弓のストラディベリウスと呼ばれる職人で(宝石・時計職人でもあったと言う)、フランソワ・グザビエ・トルテという名のフランス人です。

弓の素材として用いた事です。その前は、南米から持ち込まれた物珍しい材(スネークウッド・マサランデューバ)などがよく使われていましたが、この材の弓材として(振動減衰性:しんどうげんすいせい)の低さを見出した事から、名の有る演奏家が好んでこの材の弓を使いました。その為、その後から現代まで、バイオリンの弓材といえば、このフェルナン・ブーコ材が最高と言われます。今ではカーボン・グラスファイバーなどの弓材も開発されていますが、材の硬さ、材の密度、材の柔軟性が特に優れていると言われています。

フェルナン・ブーコ、ブラジル・ウッドのご紹介は以上です。続いてブライヤーをご紹介いたします。

木族の会(樹種辞典)

ステッキの材料となる様々な貴重な樹種についてご説明いたします。

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