産地はインド・ネパール・ブータン等、インドの飛び地のアッサムだそうです。切削時柑橘系の香りがします。ラカッポでは、色彩も面白く、ステッキハンドル用と思って在庫しています。この材は、出品者もどこの産地か名称すら分らなかった材です。銘木業界誰も扱った事なく、ヒクシン科のターミタリアと言う人もいれば、○○何とかの木に間違い無いとか、意見も参考になりません。私が買い求め、1年を要してようやく分りました。インド産のミカンの原種です。
目次
ミカンの原種材の瘤(コブ)輪切り材について
この木は長柄(ながえ)ミカンです。果実のヘタの部分が太く長い為、この名が付いたようです。この木は別名アップル・ウッドとも呼ばれ、野生地の中では、インド象や猿の餌に実がなっているとの事です。この地は、大元は柑橘類の原種の宝庫で、世界の約800種から1,000種は、この地のミカン・柑橘の元祖と言われています。雨量も比較的多く、生育に条件が良いと言われています。
もう1つヒントは、これを輸入した業者が他に北インド・バングラディッシュ産のチッソル・チッソー材を日本に入れたと聞き、間違い無いと確認いたしました。どういう理由でこのようにコブに成ったかは不明ですが、大きさ利用度では日本のミカンの比ではありません。
特長
長柄(ながえ)ミカンは、樹高10m~15mぐらいで、径20cmを越える材は少ないと言われています。しかし現実にこの様な材が存在します。写真①輪切り材の入皮部分や傷を除いてカットした材です。コブの杢目は多様で、いろいろな杢目が取れます。
写真②は耳皮付の1m20cm材です。この同材は、設計士の方が自宅の事務所の手洗場の天板に使いたいと納められ好評でした。写真を拡大して見て下さいませ。
仏手柑(ぶっしゅかん)
インドでは、この材の近似種で同じミカン科の仏手柑(ぶっしゅかん)があり、漢方薬や仏様の手型に似ていている為、煎茶(せんちゃ)道では、季節の置物飾りをする事もあります。
写真③は仏手柑(ぶっしゅかん)の実と仏様の手型の比較を実際に撮影してみました。ソックリです。
写真④は仏手柑(ぶっしゅかん)と降魔印(触地印)の印相をした釈迦如来様です。仏像(白檀)、台座(黒檀)、後光に見立てたブビンガの瘤(コブ)材です。
写真⑤は、仏手柑(ぶっしゅかん)の花のツボミ、写真⑥は、仏手柑(ぶっしゅかん)の花です。3月から5月ぐらいにかけて開花します。偶然にもこの記事を公開した2020年4月30日に開花が始まったので、撮影いたしました。ラカッポの新しい門出を祝ってくれているのかもしれません。
ちなみに仏手柑(ぶっしゅかん)の花言葉は、「本当の私を見て」、「媚びない(下心を持たない、権力には屈しない)美しさ」です。また、仏手柑(ぶっしゅかん)の実(写真⑦)には、多福や商売繁盛の意味もあるそうです。
ステッキとしての柑橘類
全般に径が細くステッキとなったのは”レモンの木”以外ありません。この材のように珍しくコブを有する物があれば別です。柑橘類の”木”で直径40cmを越える物があれば、曲げたい木はあります。林檎(リンゴ)・桃(モモ)・梨(ナシ)・杏(アンズ)・李(スモモ:プラム)・柘榴(ザクロ)・葡萄(ブドウ)が揚げられます。以外と園芸種は、人の手がかえって入った材なので、アァーと驚く杢目が潜んでいる事があります。
ミカンの原種材の瘤(コブ)のご紹介は以上です。続いて御蔵桑(みくらぐわ)をご紹介いたします。
木族の会(樹種辞典)
ステッキの材料となる様々な貴重な樹種についてご説明いたします。
ステッキ専門店【ラカッポ】について
ラカッポは、おしゃれなステッキ製作を手がけ国内外のお客様からご好評を得ている東京新木場のステッキ専門店です。(有)東京数寄屋倶楽部によってプロデュースされています。ステッキのあらゆるオリジナルデザイン、意匠(銀細工・象牙彫刻・宝飾)に到るまでオーダーメイドによる製作を承ります。アンティークステッキ、思い出のステッキの手直しについても修理を承っております。
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ステッキ専門店ラカッポは、お客様のご要望をお伺いさせていただきながらフルオーダーメイドでステッキを製作、販売させていただいております。ご来店の際は、事前にご来店予約をお願いいたします。また、ご不明な点などございましたらお気軽にお問合せくださいませ。みなさまのご利用、お待ちしておます。