レモンの木

レモンの木

材の事をお話ししますと少し長い話になります。今から8年前に、たまたま木材輸入業者から声を掛けられ購入したのがレモンの材です。ヨーロッパ地域の輸入枠は少量で、荷がまとまらず困っていたと言います。ギリシア産のレモンの大径材を挽き割った材が少量あるので、買わないか?という事です。

レモンの木について

レモンの木は、日本にはたまたましか入らない珍しい材で、主に楽器関係、音大の特殊楽器の修理、製作に少量使われるだけで、はっきり言って金にならないと話して来られました。総量は2㎥建築の鴨居(かもい)材で20丁分です。今まで私は扱った事がありません。すでに人工乾燥済材で、多少干割れはあるものの、材面には美しい縮緬(チリメン)が材面にあり、色彩もレモンの果実を薄くしたレモンイエローです。不思議な事に、板上下にとても上手とはいえないヒマワリの彫刻がしてあり、理由を尋ねましたら、ギリシアではレモン母樹(遺伝子的に病虫害に強いレモンを栽培育成する為)保存木として大事に育てているそうです。たまたま立ち枯れ材だったため、家具材として扱い輸出された材と分かりました。買付けた際、何か悪い事(密輸入)をしたような錯覚を覚えました。

レモンの果実・レモンの木の挽肌:縮緬(チリメン)杢

レモンの果実・レモンの木の挽肌:縮緬(チリメン)杢

ステッキ

当初曲げようと試みましたが、硬い木で中南米産ボコーテ材と共に曲がらない筆頭です。手曲げから動力(3馬力)モーターに変えてから、材も曲げる事ができました。木地、拭き漆、硬質ウレタン塗りと塗り別けて3年置いた物です。個人的には、経年変化を楽しむなら、漆塗りの方が相性が良いと思われます。

レモンステッキ

レモンステッキ

レモンステッキ

レモンステッキ

  • ①は硬質ウレタン塗り
  • ②は拭き漆し塗り
  • ③は木地仕上

ラカッポでは10年以上乾燥させた材でも、木地曲げしてから一年は置きます。塗装結果を見ながらようやくの出荷です。ステッキを持つ心は、レモンだけに爽やかさを感じる逸品のステッキです。

よくある質問と回答

Q:レモン材の事でエピソードはありますか?

A:この材は、同じレモンウッド(ランスウッド)と呼ばれるアカネ科の植物とはまったく違います。特に業界の方は疑う事を一番にしている感があり困った方々です。

Q:その他何かありませんか?

A:この材は切削時に柑橘類の芳香があります。冒頭レモンの果実を載せたのは、レモンハイボールを飲む時、このレモン材を思い出します。レモンの原産はインド・ヒマラヤ山麓とされています。今日ギリシヤ(シチリア、スペイン、西ヨーロッパ)遠くはチリ、アルゼンチンまで栽培が盛んです。

調べましたらレモンは、接木・挿木・自然交配も可能だそうです。地中海シチリア島にレモンが持ち込まれたのは、古くはイスラムサーザーン朝ペルシヤといわれていて、中国には2世紀頃、日本には既に9世紀頃には伝播されたと歴史書に記述があります。

話は変わりますが、同じヒマラヤ原産の”果実ザクロ”もはっきり伝播については歴史的にわかりません。

空想まじりの人から聞いた話として下さい。ギリシアに初めてレモン・ザクロをもたらしたのは、紀元前4世紀マケドニアから東方遠征に向ったアレキサンダー大王がペルシヤ・インド西域・インダス川上部と攻め上った時、このレモンとザクロが出会っても不思議ではありません。

歴史学者が言うように、歴史は直線ではなく途中で空回りや打ち返す波のようにでもあり、得てして伝説が正しいと言う事がよくあります。

レモンハイボールを片手に、レモンの事を想いオリバーストーン監督の歴史スペクタクル「アレキサンダー大王」を鑑賞するのも面白く、私の好きなアンジェリーナ・ジョリーも出演しています。一瞬、レモンの果実とステッキがよぎります。

レモンの木のご紹介は以上です。続いて木族の会(樹種辞典)をご紹介いたします。

木族の会(樹種辞典)

ステッキの材料となる様々な貴重な樹種についてご説明いたします。

木族の会(樹種辞典)