栃は、北海道小樽市銭函(ぜにはこ)以南から本州、四国、九州に至るまで、広く温帯林に分布している樹木です。特に東北北上山系、岩手県岩泉にまとまった林相があります。関東埼玉から北部(日光)、中部地方から良材が出材されます。特に岐阜県産は、最上格品として有名です。現在も岐阜を中心に栃材を扱い業者も多数居ます。
栃(とち)について
特長
栃の杢目の醍醐味は、純白の地肌に縮緬(チリメン)杢を中心に、波杢・漣(さざなみ)紋といった杢が板一面にチヂミ系の杢が現れ、銘木栃(とち)として、古くから賞美されてきました。使用例は、建築材として京都桂離宮・新御殿・上段ノ間・框(かまち)・幕板材・有名な桂棚の羽目板等に見事な杢目が見られます。
建築材以外では、古代から栃の実が食料、食器として茶碗類(漆器の素材)として(木理が緻密さを求められた為)、利用されています。現代指物作家に、栃材を使った小卓や箱物・盛器など多くの作品が作られています。
ステッキ
- ①原木(げんぼく)から平割りした材を約10年かけて養生乾燥させます。
- ②板材を更に割り一年程おき、そっと!!白太部分を除きます。
- ③更にそのままの状態で一ヶ月程平積みでおき、杢目の流れを読み、真っ直ぐに1メートル50センチメートル×3センチメートル角にしてから大曲り加工をします。
なぜ段階的に時間をおくのか?何年も眠りに付いていた材を急に切ったり、削ると人間でもビックリする様に、材も反ったり、厚み等の狂いが生ずる為です。
- ①の白太部分を落します。
- ②1m50cm×3cm角、目を切らずに落します。
- ①曲げた木地仕上がり品
- ②拭き漆しを施した製品
- ③黒漆しを施した製品(色付けは好みより調整します)
縮杢の間隔は狭くmm単位でも駄目で、5mm単位がステッキには長さに対して等間隔が一番美しいと昔から言われています。
寺院等の塔の頂上を飾る金属の輪を九輪(くりん)と言います。栃の均等のチヂミの輪は、この九輪に重なります。ステッキでは、九輪杢(くりんもく)・宝輪杢(ほうりんもく)と称します。
スネークウッドの重厚な虎目の縞と違い、日本の木なのでどこか東洋的でもあり、来社されるお客様には、重さも軽く選ばれる片も多いです。九輪杢(くりんもく)は、杢目だけでもスネークウッドを凌駕しますね。
栃(純白材)に現れる漣杢(さざなみもく:川辺の水面がざわめくような杢目から呼びます)は、栃では高樹齢木に現れます。
栃杢では縮緬杢(ちりめんもく)より格上の杢ですが、1m50cm×3cm角に杢を乗せるのは、難しい杢目です。
よくある質問と回答
A:栃はあまりにも純白の色彩の為、昔から漆などで必ず色付け仕上げをします。今では重クロム酸の色付もします。また栃は、雨に長く打たせると青(カビ)腐れが発生し易い木で、本来の使い方が出来ません。
エレキギターのフェイス材として、その腐れスポルテッド(腐れ黒縞)状が好まれる時代です。私のような古い頭では付いていけませんね。
A:栃は山間部・里山に多くありますが、大都市東京、そでも皇居近くの法務省から桜田門まで、栃並木が続いています。その他有名なのは栃木宇都宮市、岩手盛岡市にも栃の街路樹があります。
栃の実を数珠にした物や、実そのものがフリーマーケットで出品している方がいて、出所を聞くと、警視庁前と言われ驚いた事があります。
栃(とち)について
以下のページで栃(とち)について、栃(とち)・瘤(コブ)その1、栃(トチ・)瘤(コブ)その2についてご紹介しています。合わせてご覧下さいませ。
栃(とち)のご紹介は以上です。続いて栃(とち)・コブその1をご紹介いたします。
木族の会(樹種辞典)
ステッキの材料となる様々な貴重な樹種についてご説明いたします。
ステッキ専門店【ラカッポ】について
ラカッポは、おしゃれなステッキ製作を手がけ国内外のお客様からご好評を得ている東京新木場のステッキ専門店です。株式会社山安によってプロデュースされています。ステッキのあらゆるオリジナルデザイン、意匠(銀細工・象牙彫刻・宝飾)に到るまでオーダーメイドによる製作を承ります。アンティークステッキ、思い出のステッキの手直しについても修理を承っております。
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