木魂の杖(作品集)でご紹介した”マラッカ籐に銀細工”は、本(ほん)マラッカ籐です。

なぜ本(ほん)が付くのか?といえば、世に流通しているマラッカ籐は、籐の太口材に着色された物やマラッカ籐ですが、かなり削り加工した物が多く売られているからです。

丸籐に砥の粉、ニカワを混ぜ、着色している材は素人では判断が出来ません。

マラッカ籐と籐丸(私たちが目にする椅子・テーブル・ベッドの籐家具に使われる)とは、産地種類がまったく違います。例えたらマラッカ籐は、竹に近く、籐は籐ズルや太い弦系の植物といった所です。

見分け方は、本物のマラッカ籐は写真のように、ロータリーエンジンのような三角形おむすびに近い断面形状で、人に例えると背骨にあたる突起が手元から石突きまで走っています。

マラッカ籐は必ず断面が三角形です。

本マラッカ籐

本マラッカ籐

マラッカ籐(とう)について

生育分布

赤い部分がマラッカ籐。斜線部分が丸籐ラタンの生育部分です。地域により混成生育地もあります。

マラッカ籐・九籐の生育地図分布図

マラッカ籐・九籐の生育地図分布図

地図で示したように、突き出したマレー半島とインドネシア・スマトラ島に挟まれた有名なマラッカ海峡の南側インドネシアの北スマトラ島の南側インド洋に面したアチエ・シンキル・パタンに面した限られた地区の山添いに生育しています。

現地の人が伐採から加工した品物を山を越えた集積地メダンという町に集められて海峡を渡ったシンガポールの専門業者から欧米・日本へと輸出されます。

現地の生育地の写真です。籐というより竹に近いです。

現地の生育地の写真

現地の生育地の写真

伐採された皮付状態の良い物だけ選別し、煮沸され、虫害を除く作業が終わり、天日干し作業が行なわれます。

選別されたマラッカ籐(とう)

選別されたマラッカ籐(とう)

マラッカ籐は、写真でもわかるように、ほとんどが節付きです。節と節(節間)が90cmから1m以上ある完品は、現地でも年間あっても20本程度といわれています。

更に皮が綺麗に剥がれ表面に景色があり、径が先細りせず、大曲り加工に適した材になると、更に入手が難しく、大変貴重材といえます。現在マラッカ籐の完品は20万円以下では手に入りません。

ステッキ

ラカッポに在庫しているマラッカ籐のステッキ

ラカッポに在庫しているマラッカ籐のステッキ

写真①
節間が取れず、皮付の良材をそのままに大曲り・中曲りに仕立てたステッキです。雅味・野趣があり人気があります。
写真②
中央より手元は、無節で石突き部分に近い所に節がある場合、節皮を削り取り1本物のように仕立てたステッキです(削り取った部分は白い)。現在、このタイプが一般に流通しています。
写真③
節間が長く取れて表面に大きな傷が無い物。また多少の傷があっても着色された物も比較的価値があります。また完品でも、長さが足りず長さ補助として、水牛などのハンドルを付ける場合があります。

当社では、マラッカ籐を深く追求してコレクションし、写真3タイプの製品を在庫していますが、残念ながら完品はたったの2本です。

実際にマラッカ籐の生育をご覧になりたい方は、シンガポールの植物園ポタニックガーデンをおすすめします。

写真・資料提供:大阪籐問屋(株)キムラ代表木村稔氏より談

マラッカ籐のオーダーメイドステッキについては、以下のページでご紹介しています。

マラッカ籐製品、良品・判断基準

マラッカ籐のステッキ

写真A

写真「A」はマラッカ籐の原材料そのままに曲げた状態です。中央下の赤いテープの下は、すべて丸身を付け削り出しています。マラッカ籐の完品(1200mm~1500mm)の節も無く、肌(上から下まで)が良い状態の物はインドネシアから日本に入荷するのは1年で10本~20本しか無いと言われています。ですから、写真「A」の様に市販されているマラッカ籐の大曲り品は、ほとんど形成品(何らかの手が加えられた品)です。完品の物は、塗装込み(多くはニス塗り)で本15万~20万円はします。

マラッカ籐のステッキ

写真B

写真「B」は仮に形成品でなくとも、その肌は湿地帯に生えていたり、伐採時の鎌の刃傷やコケ跡や斑(ふ)と称される自然の模様があったり、中には虫穴の有る材もあります。天然のそういった模様に雅味が有ると喜ばれる御客様も当然いますが、今日無い物が好まれるのも事実です。

①は天然の斑等が有る材②は天然の模様すべてエナメル質共掻き落とし、拭き漆し仕上りに仕立てた品です。

マラッカ籐のステッキ

写真C

写真「C」の①は形成品、②は拭き漆仕上品、③は完品のマラッカ籐大曲り品です。

マラッカ籐のステッキ

写真D

写真「D」の①はマラッカ籐の皮付品で天然肌そのままに、ニス塗りをした商品です。②は調色(有楽塗り)を施し、ニス塗りをした商品です。

マラッカ籐のステッキ

写真E

写真「E」の①は天然肌を生かして仕上げられた完品のマラッカ籐の大曲り品です。②は外皮のエナメル質を落とし拭き漆しを施した大曲り品です。

よくある質問と回答
Q:形成品の見破り方はありますか?

A:マラッカ籐の完品は、前述のように本体がロータリーエンジンの様におむすび形をしていて、必ず人間で言う背骨が有り、曲げ持手から石突まで一直線にあります。形成品は丸く削り取るので、石突に至る途中から突起が消えています。マラッカ籐は籐の大曲り品と共に夏季のステッキとして古くから特にヨーロッパでは人気の高い商品です。ぜひ店に来店され、手に取って説明を受け確認してお求め下さい。

籐(とう)製品、良品・判断基準

マラッカ籐のステッキ

写真F

籐の大曲り品でも同じ事が言えます。写真「F」の①は、木地ですが最初に有る天然傷材です。写真②は完品の籐(ニス塗り)の大曲り品です。

マラッカ籐のステッキ

写真G

写真「G」の①は、籐の木地の大曲り品です。②③は、籐の肌に調色(有楽塗りを施し)ニス塗りを重ねた品です。

よくある質問と回答
Q:有楽塗り仕上げはどの様に加工するのですか?
シェラック・砥粉・ニカワ

写真H

A:実際の塗り方法、仕事動作は割愛させて頂きます。写真「H」の①は虫の卵から産出したシェラックです。バイオリンの外部はシェラックが何回も塗り重ねられています。②は砥の粉です。砥石(といし)の細かい粉で、赤、黄等があります。③はニカワです(牛の脊髄から取る接着剤のような物)。④⑤は①②③をよく混ぜ、練状にした物です。上記の物質材料をワニスに溶かし込み何回も塗り重ねます。

籐(とう)の関連情報

籐(とう)に関しては、以下のページでまとめています。

籐(とう)

籐(とう)籐を確認

マラッカ籐(とう)

マラッカ籐(とう)マラッカ籐を確認

マラッカ籐(とう)のご紹介は以上です。続いてミカンの原種材の瘤(コブ)をご紹介いたします。

木族の会(樹種辞典)

ステッキの材料となる様々な貴重な樹種についてご説明いたします。

木族の会(樹種辞典)

ステッキ専門店【ラカッポ】について

ラカッポは、おしゃれなステッキ製作を手がけ国内外のお客様からご好評を得ている東京新木場のステッキ専門店です。(有)東京数寄屋倶楽部によってプロデュースされています。ステッキのあらゆるオリジナルデザイン、意匠(銀細工・象牙彫刻・宝飾)に到るまでオーダーメイドによる製作を承ります。アンティークステッキ、思い出のステッキの手直しについても修理を承っております。

会社概要

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コンセプト

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購入前の知識

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ステッキ購入前の知識

商品情報

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お問合せ・ご来店予約

ステッキ専門店ラカッポは、お客様のご要望をお伺いさせていただきながらフルオーダーメイドでステッキを製作、販売させていただいております。ご来店の際は、事前にご来店予約をお願いいたします。また、ご不明な点などございましたらお気軽にお問合せくださいませ。みなさまのご利用、お待ちしておます。