籐(とう)は地図に示した斜線部分を主にインドネシア(ボルネオ南部)、北はフィリピン(ミンダナオ)に分布しています。現在の主要産地は、やはりインドネシアです。現地の熱帯雨林の高木に抱き付くように生える弦(つる状)の植物です。
葉は意外にアイビー類とは違い笹の葉の形。ヤシの葉の様に一対に葉が出ています。
長さは信じられませんが、100メートル有る物も有り、最近では熱帯雨林の減少に伴い長さは短くなっていると聞きます。大阪(株)キムラの社長倉庫の天井には、100m以上の籐が吊り下げられ、展示されているの実物を拝見して驚きました。
目次
籐(とう)について
籐(とう)の形状
形状は魚(ハリセンボン)のように弦(つる)全体にトゲがあります。
写真①②のように全体の径により大中小サイズがあります。
籐(とう)は以下のように三種構造になっています。
①トゲトゲの外皮は取り除いて使いません。
②ササラ状に割れている部分
中皮部分を削って以下写真のピールと呼ばれる細かい細工用の皮を取ります。
③中芯材
これが私たちが見る白い籐本体です。
③中芯材は、太さの径サイズにより大民(たいみん)・中民(ちゅうみん)・幼民(ようみん)に分かれます。ステッキでは、大民サイズがよく使われます。たまに大珉籐と書かれていますが、台湾の積出し港の中国読みから来ているそうです。籐の種類と用途をまとめると以下の通りとなります。
籐の種類と用途
構造材
種類
- 太民(たいみん):直径25~30ミリ
- 中民(ちゅうみん):直径25~30ミリ
- 幼民(ようみん):直径10~18ミリ
仕上げ材
種類
その他の材料
加工工程
伐採してきた籐材の長さを切って、揃へ水槽によくつけ、外皮を取り除き、洗いを掛けて天日干しにし、用途により等級に別け、結束して出荷します。
日本に入荷した材の中から、丸身が揃っていて、堅めで艶のあるものを厳選して、大曲りステッキを製作します。
写真・資料提供:大阪籐問屋(株)キムラ代表木村稔氏より談
籐芯のいろいろな使い方の例
籐はマラッカ籐と違い熱が通り易くよく曲がります。しかし、木地の時、湿気や水分があると、折角曲げた大曲りの手元の返しがしばし戻る事があります。木地の場合、戻りにくくする為、麻ヒモで強くしばり保管をします。
籐は軽くて使い勝手が良いのですが、その柔らかさの故、体重を乗せた時”しなる”のが欠点です。ラカッポではしなりを抑える為、籐芯の上に籐皮(ピール)で網代編みにしたり、籐芯の変わりに樫(かし)を芯に用いる事もあります。
籐はいずれにせよ、世界的にラタン家具(テーブル・椅子・網代敷物)の需要が多い中、ステッキに向く籐の入荷が少なくなっているのが現状です。
籐(中民籐、小民籐)のオーダーメイドステッキについては、以下のページでご紹介しています。
籐(とう)の関連情報
籐(とう)に関しては、以下のページでまとめています。
籐(とう)のご紹介は以上です。続いて栃(とち)をご紹介いたします。
木族の会(樹種辞典)
ステッキの材料となる様々な貴重な樹種についてご説明いたします。
ステッキ専門店【ラカッポ】について
ラカッポは、おしゃれなステッキ製作を手がけ国内外のお客様からご好評を得ている東京新木場のステッキ専門店です。株式会社山安によってプロデュースされています。ステッキのあらゆるオリジナルデザイン、意匠(銀細工・象牙彫刻・宝飾)に到るまでオーダーメイドによる製作を承ります。アンティークステッキ、思い出のステッキの手直しについても修理を承っております。
お問合せ・ご来店予約
ステッキ専門店ラカッポは、お客様のご要望をお伺いさせていただきながらフルオーダーメイドでステッキを製作、販売させていただいております。ご来店の際は、事前にご来店予約をお願いいたします。また、ご不明な点などございましたらお気軽にお問合せくださいませ。みなさまのご利用、お待ちしておます。