パロサントとは、アルゼンチン・パラグアイの名称で呼ばれています。輸入国アメリカでは、マラカイボ・リグナムバイタ・パロバルサモと呼ばれています。原産地の名称は、コロンビアではグアイヤカン。エクアドルでは、ヴェラ・パロ・サノと呼ばれています。分布は、アルゼンチン最北東部に位置するフォルモサ・チヤコ両州にサルタ州を加えた北部一帯に分布しています。よく間違えられるのは、パロサントでは無くパオサントです。マメ科の樹木で材面は、黒色で濃淡の縞がある物で、南米黒檀と呼ばれる材名です。
パロサントについて
特長
樹高20メートル、直径70センチメートルに達する中型の樹木で、辺材は白黄色、芯材は黄褐色に緑色がかった色彩を帯びています。
利用用途
材の利用は、高級家具・調度品等マテ茶の用器がこの材より作られます。家具の利用としては、16世紀に入ってからで、ブラジリアンローズ・シダー・パロサント等、貴重な材を母国に持ち込み、以前から使われていたナラ、ウォールナットに代えられ、ポルトガル、スペインでは、寄木家具、椅子などが盛んに作られました(バロック家具様式)。
- ①はリグナムバイタ
- ②③④は、全てパロサント。パロサントは削り等を施しますと一瞬にして緑が消え、茶褐色に早変わりします。
- ①は深い緑色したリグナムバイタ材
- ②はハマビシ科のパロサント材
ステッキとしてのパロサント
よくこの材は、昔から高級ステッキとして○○と書かれ、実際売られているショップも拝見します。私は曲げた事はありませんが、セパレート型ステッキの棒・シャフトは何本か作った事があります。しかし特別な杢目、著しく他の材と違う特長が見当たりません。特に切削時魅力ある淡い緑の縞目が消えて、茶褐色一色になります。ですから、ラカッポでは御客様より特別な注文がある場合を除き製作しておりません。
素材を永く在庫しておくと、リグナム・バイタと同じく、樹木ではあまり見ない緑色の色彩になります。
写真①は、1垣大曲り加工し、しばらく在庫した後、塗装を施した大曲りステッキです。塗装成分により、緑色は少し退色します。
参考価格
大曲で普通の物で、本10万円~15万円。緑の色彩が良く残る物で本25万円です。
よくある質問と回答
A:パロサントの材からは5~6%の精油(独特の香り)が取れます。この地方を植民地としたスペイン、ポルトガルプロテスタントの宣教師達は、布教と共に礼拝(ミサ)に欠かせない香油をこの材に見出しました。現代でも神への奉物としての”香”が焚(た)かれます。神の栄光を讃(たた)え、教会に集まった信者の心を揺り動かす目的として、薫香(くんこう)が必要だった訳です。
A:あまりお話ししたく無いのですが、冒頭写真等で説明しましたが、リグナムバイタの大曲りステッキを私に自慢げにお見せになった御客様がいました。リグナムバイタ・パロサントは、プロでもその違いは判断できません。世界一重い木だとか、大曲りはめったに曲がらないとか!!御客様は”力”を込めて説明されましたが、私が見立てた所、パロサント材でリグナムバイタではありませんでした。
よく曲げた技術は認めますが。せっかくの緑色の色彩が加工により消し去られ、更にウレタン塗装により茶褐色に変化しており、その後の御客様との受け答えに窮した事がありました。
ラカッポからの提言
リグナムバイタ”生命の木”、パロサント”薫香”とか”万病の薬”だとか、名前や生い立ちだけで、何かあたかも御利益や聖なる材と思い込み、迷信がかった扱いをやめ、冷静に自分に適した材のステッキを見つけて下さい。
パロサントのご紹介は以上です。続いて白檀(びゃくだん)をご紹介いたします。
木族の会(樹種辞典)
ステッキの材料となる様々な貴重な樹種についてご説明いたします。
ステッキ専門店【ラカッポ】について
ラカッポは、おしゃれなステッキ製作を手がけ国内外のお客様からご好評を得ている東京新木場のステッキ専門店です。株式会社山安によってプロデュースされています。ステッキのあらゆるオリジナルデザイン、意匠(銀細工・象牙彫刻・宝飾)に到るまでオーダーメイドによる製作を承ります。アンティークステッキ、思い出のステッキの手直しについても修理を承っております。
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