日本の桑は、日本全土、北は千島列島サハリンから、南は屋久島、沖縄諸島まで生育しています。もともとは、中国、朝鮮半島が東アジア圏が原産と、一般的には言われています。かたや亜熱帯東南アジアを原産とする桑属の総称とする説です。前者は養蚕(ようさん)を目的とした桑栽培を主とし、後者は果実としての栽培を主とした二系統あるといわれています。前者が桑(くわ)、後者が英名マルベリーです。

桑(くわ)について

日本の桑は、中国北部原産の唐桑(からくわ)をもとに、日本の在来種である山桑を掛け合わせた品種となります。明治期、絹糸、織物の輸出が盛んな時代、挿し木から種を取る方法を見出したため、当時農林統計でも200種あったといわれています。

東南アジアの桑は、シルクロード、海上ルートにより、中東地域にマルベリー種が派生したと考えられています。

普通、桑の実は赤ですが、ペルシアン種は白い実を付けます。ラカッポの店先のプランターには、日本種とペルシア種の桑を紅白に植えています。食してみると、白い実は甘さが引き立ち、日本の桑の赤い実は少し酸味があり、二系統の違いがよくわかると思います。

ステッキ

2本は御蔵桑、2本は山桑です。右の板は御蔵桑の目が通った板材

2本は御蔵桑、2本は山桑です。右の板は御蔵桑の目が通った板材

大曲りステッキ4本のうち、2本は御蔵桑、2本は山桑です。右の板は御蔵桑の目が通った板材です。

日本の桑材を考えますと、山桑(やまぐわ)、地桑(じぐわ)の2つは同意語として使われます。昔から山野に自生する桑です。西日本に生育している毛桑(けぐわ)は、まったく違うものです。

特徴は、径も太く直材が多く、年輪も良く積んだ良材が出材されるケースがあり、生育時の環境により、タクリ杢、玉杢、チヂミ杢を持った最高材が取れる事もあります。

これと対象に、里桑(さとぐわ)があります。明治来養蚕のために、栽培されてきた種類です。現在、絹織物産業の衰退に伴い、畑地里山に、放置された桑のほとんどを占めています。

葉枝を取るために、短尺中刈仕立が主流だったため、その痕跡傷は多く、虫害、洞(うろ)、葉節の率が高く、また肥料の関係上、石灰を含む木が多くみられるのも特徴です。そのため、用材としては不向きと言えます。

受賞

平成22年第54回全国銘木展示会(東京於)にて当社が出品した御蔵金桑の床柱出品に東京都知事賞を頂いた賞状

平成22年第54回全国銘木展示会(東京於)にて当社が出品した御蔵金桑の床柱出品に東京都知事賞を頂いた賞状

この賞状は、平成22年第54回全国銘木展示会(東京於)にて当社が出品した御蔵金桑の床柱出品に東京都知事賞を頂いた賞状です。当時知事だった石原慎太郎氏の名前があります。東京都林産課から出品経緯や形状について聞かれた記憶があります。銘木業界では、上から3番目の賞です。

よくある質問と回答

Q:日本の桑の良材はどこで取れますか?

A:昔から九州宮崎日向産(綾営林署)、広島、岡山などが、銘木級の良材が出材され、度々業界を賑わせました。どういう訳か、寒冷地の山桑や標高の高い所では、良材はありません。関東、東北4県は申し訳ありませんが、桑の良材が出たという事を聞いた事はありません。

Q:桑はどのように利用されてきましたか?

A:材の利用は圧倒的に建築用材としての利用が多く、床柱、床框(かまち)、落掛、欄間板、楽器(琵琶)、指物、文机、茶道具、小箪笥、小物は茶托、箸に至るまで広く利用されています。

”木挽”による山桑、床柱取り風景(当社、旧江戸川工場にて)

”木挽”による山桑、床柱取り風景(当社、旧江戸川工場にて)

Q:桑にまつわるエピソードはありますか?

A:中国では古くから桑を聖樹として崇める信仰があり、雷(カミナリ)を桑の木で捕らえたという伝説が日本に広まり、雷が鳴ると”人々は桑原、クワバラ”と称して桑の林に逃げ込んで難を避けるまじない言葉として生まれたといわれています。

杖(つえ)については、桑の杖を難除け守の考えもあり、15代徳川慶喜が桑の杖を造り、5代将軍綱吉の生母が祀られる東京池袋護国寺に杖を献納したといわれています。

Q:桑(くわ)は、どうして島伝いに点在しているのか?

A:これはあくまで私見・仮説です。

現在、以下の島々に桑の木は点在します。

  • 裏日本側:五島列島・対島・隠岐・佐渡各島
  • 表日本側:沖縄諸島・瀬戸内海諸島・伊豆九島・小笠原諸島

その理由は、日本本土に近い地域は、桑の実を鳥が啄ばみ(ついばみ)、糞として島伝いに自然発生した説。人が島々に住むようになり、縞系織物として養蚕の伝播説が植物には必ず言われる説です。私なりにいろいろ考えてみましたが、納得ができません。最後は人知を越えた神の業による?とは思いません。

上記の事は事実だったにせよ、今日の桑の林相からは、歴史時空間があまりにも足りません。ある時、テレビ番組の中でインドネシアの魚漁師が小舟に乗り、浜近くの木の根コブより魚形に削った物を竿先に付けて、水面をバシャバシャさせて魚の群れや弱った魚の真似をさせて海遊する大魚(海カマス、バラクーダ、シイラ)などを呼び寄せ、銛(もり)で突く漁を見ました。

今でも沖縄の島々や日本近海の漁村に古くから伝わった漁です。ではその時に、使う光る(アジ、サバの皮)に似た木。それは桑の根ではなかったかと思うようになりました。

海洋民族の流れを汲む漁民、漁の事もあり、古代すでに植樹の概念が既にあったような思いがします。また日本には和歌山、伊豆、千葉各漁村には、同じ地名文化風習が同じように伝わっており、考えが深くなります。20年ずっと考えていた仮説です。、荒唐無稽(こうとうむけい)と笑われるかもしれませんね。

桑(くわ)の関連情報

桑(くわ)に関しては、以下のページでまとめています。

桑(くわ)

桑(くわ)桑を確認

御蔵桑(みくらぐわ)

御蔵桑(みくらぐわ)御蔵桑を確認

小笠原桑(おがさわらくわ)

小笠原桑(おがさわらくわ)小笠原桑を確認

桑(くわ)のご紹介は以上です。続いて欅(ケヤキ)をご紹介いたします。

木族の会(樹種辞典)

ステッキの材料となる様々な貴重な樹種についてご説明いたします。

木族の会(樹種辞典)

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会社概要

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