日本列島の火山活動により、何千年~何万年前に地中に埋もれた木材が土地開発、トンネル、道路整備工事等に伴い、偶然出土された材を神代物(じんだいもの)と呼んでいます。その種類は、杉に始まり、松、栃、栗、タモ、楠等、当時繁茂していたすべての木材に渡ります。神代物の中で山体崩壊や爆風で、材が横倒しになった状態で出土されるものが黒神代です。火山噴火による多量の降灰や火砕流におより材が立ったまま(いわばローストビーフ状態)で出土されたものを茶神代と呼んでいます。火山活動とは別に地震、山津波、河川の氾濫、海の津波で川の曲がりくねった流れ(わんど)等に、川底に堆積された材は、埋木(うもれぎ)として銘木業界では大別しています。

神代(じんだい)について

出土の様子

昭和23年、静岡県中伊豆天城茶神代出土写真。左端のネクタイ姿は私の父親です。

昭和23年、静岡県中伊豆天城茶神代出土写真

昭和23年:静岡県中伊豆天城茶神代出土写真

同じく中伊豆茶神代クレーンでの出土写真です。

中伊豆茶神代クレーンでの出土写真

中伊豆茶神代クレーンでの出土写真

昭和47年、静岡県富士川黒神代出土写真です。

昭和47年:静岡県富士川黒神代出土写真

昭和47年:静岡県富士川黒神代出土写真

昭和58年、スキー場造成地斜面の中腹より出土した黒神代杉です。

昭和58年:スキー場造成地斜面の中腹より出土した黒神代杉

昭和58年:スキー場造成地斜面の中腹より出土した黒神代杉

神代物出土で有名なのは、以下の3箇所です。

  • ① 静岡県(中伊豆、筏場)
  • ② 秋田県、山形県鳥海山
  • ③ 北海道雌阿寒岳

共に歴史的に多量の降灰火山で有名です。静岡県中伊豆町は、天城山系から出土する神代杉が有名で、江戸時代末より”堀師”と呼ばれる職人集団が形成されていたと文献に記されています。

父親から聞いた話ですが、竹筒を地面に指し、まるでダウジングのように地下水脈の流れの屈折を聞き取り、神代の埋まっている所を言い当てる専門人がいたそうです。

中伊豆から出土される大径材の茶神代杉は、特に有名で色艶が最高と言われています。この材を使った建物に、伊豆塔の下に創業400年の老舗旅館環翠楼があります。ここの大広間に巾広のみごとな杢目をした茶神代が格子天井に使われています。

人間国宝木芸家の大坂弘道氏、孤高の指物師と呼ばれた方と、練馬美術館でお会いする機会があり、その際お話したところ、黒、茶共に天城の神代が一番とおっしゃっていました。

日本では、まだまだ沢山の神代埋木が水中土中に埋没しています。海外でも大量の埋木が掘り出されないままの状態にあると聞きます。

昭和56年に大阪銘木協同組合に、中国の揚子江より出土された黒神代が出品された事があります。日本の神代と何ら変わらなかった記憶があります。

使用例

新丹那トンネル外の土地開発により出土した天城山茶神代杢床柱使用例です。

天城山茶神代杢床柱使用例

天城山茶神代杢床柱使用例

笹杢目(ささもくめ)が引き立つ黒神代杉床柱です。

黒神代杉床柱使用例

黒神代杉床柱使用例

部屋境ランマの象嵌(ぞうがん)材、奥障子の腰板使いの使用例です。

奥障子の腰板使用例

奥障子の腰板使用例

古く神代物は、数奇屋建築材として多く用いられました。特に茶神代は茶人と同じ音響から侘びた茶室に好まれました。

黒神代糸柾目(いとまさめ)材より指物製作品(タナゴ釣りビク)です。

タナゴ釣りビク

タナゴ釣りビク

茶道具、盆点前用(黒神代ケヤキ盆)と茶杓(黒神代栗)です。

盆点前用:黒神代ケヤキ盆と茶杓:黒神代栗

盆点前用:黒神代ケヤキ盆と茶杓:黒神代栗

その他板類はテーブル、小卓、棚物、指物用材に使われ、細かい材は組物、箱物、茶道具等に使われてます。

茶神代桑、ケヤキ

茶神代桑、ケヤキ

木族の会(樹種辞典)

ステッキの材料となる様々な貴重な樹種についてご説明いたします。

木族の会(樹種辞典)