タモは、ヤチダモとアオダモ(野球のバット製品で有名)と同意語です。共にトネリコ属・モクセイ科の植物です。西日本に塩地(シオジ)という、タモそっくりな木がありますが、これも同じモクセイ科で、素人・プロでも、製品になった材は判別が出来ません。タモと近似種は、葉の形、樹種が持つ硬さや粘りや材の緻密さは、多少異なりますが、トネリコ(日本・アメリカ・アッシュ・ヒッコリー・トネリコ)は、大体杢目もよく似ていて、製品を製作しても、同列に並びます。タモは英語で、ジャパニーズ・アッシュと呼ばれます。日本においても、タモ・塩地は同種と唱える学者もいたぐらいです。

タモ(梻)・ヤチダモ(谷地梻)について

分布

タモは、長野県より北日本、塩地は長野県より西日本とはっきり分布が異なります。タモは、長野・北日本・北海道・中国東北部・黒龍江から、ロシア・アムール・ウスリー沿岸部まで広く分布し、北海道では十勝地方・北見のサロマ湖付近から良材が出材されます。本土(内陸)では、山形県にかつて日本一と言われる大径材が出材した記録があります。樹高15m・径50cm~60cmが平均ですが、樹高25m・径1mになる材が出材された事もあります。

用途

栓(せん)の時と話は重なります。戦前は北海道内建築材として広く使われ、戦後は家具用ツキ板材として、杢目・柾目が欧米へ輸出されました。材に粘りがある為、テニス・ラケット、アイスホッケー柄等、野球バットも含めスポーツ用具の材料としても有名です。

杢の良い大径材は、北海道より東京初め、各消費地に丸太で送られ、そこから得た床柱・床廻品が逆に北海道へ送られた時期もあります。

ステッキ用に木取りされたタモ・玉杢・チヂミ各原板(杢目が細かい)

写真①:ステッキ用に木取りされたタモ・玉杢・チヂミ各原板(杢目が細かい)

ステッキとしてのタモ材

タモ材の巾広材から得られる玉杢(たまもく)も代表杢ですが、ステッキには1m50cm×3cm丸の中に、宇宙のオーロラのような杢目を閉じ込め、映し出さなければなりません。タモの虎目(とらめ)・縮緬(チリメン)杢も同じです。大柄な杢目は、いくら良い杢目でも使用出来ません。ましてラカッポでは、木に対して失礼ながら、只(ただ)のタモ・只のヒッコリー等は、初めから製作しません。材の持つ最高の杢目を追究したステッキ造りを目指しています。タモ素材は、色彩が黄色から白色に近い材なので、黒漆塗りか、拭き漆塗りをおすすめします。写真②を拡大して見てて下さいませ。

タモのステッキ

写真②:タモのステッキ

よくある質問と回答

Q:タモの何かエピソードはありませんか?

A:アオダモのアオは、言葉通り葉・枝・樹皮を水に浸すと、水が藍(あい)色の蛍光色を発する事から藍(あい)の青から呼び名があります。北海道アイヌ民族は、口元の刺青(いれずみ)の消毒に、アオダモの樹液を用いたと言います。

アオダモの中径木(30cm前後)の壮年期材より、野球のバットが3~4本取材出来ます。ステッキと同じように、太くてもダメで、バットの取材同様木取りは難しいです。

アメリカメジャーリーグの野球選手は、日本のアオダモを好んで使用していた時期もあったらしいのですが、材の枯渇(こかつ)から今ではメジャーと同じメジャー材ホワイト・アッシュ・メイプル材を多く使う時代です。有名な一郎選手は、あくまでこのアオダモにこだわり続け、大記録を打ち立てました。影にミズノスポーツのバット製造マイスターの影がありました。一郎の使うアオダモのバット価格は、特注で30~40万/本すると言われています。

同じように厳選したタモ材のステッキ、更に上杢を包み纏った(まとった)ステッキは、安いと感じます。ラカッポの店の前に、円形鉢サークルに偶然アオダモの株立(かぶだち)を植えています。五月新緑時には影を写し出し、白い花も添えます。派手さは無くしかも謙虚で、ヒッコリーとは違い、日本の木らしい材です。

タモ(梻)・ヤチダモ(谷地梻)のご紹介は以上です。続いてチーク(ティーク)をご紹介いたします。

木族の会(樹種辞典)

ステッキの材料となる様々な貴重な樹種についてご説明いたします。

木族の会(樹種辞典)