ウォールナット(くるみ材)について

日本のくるみ属

日本には以下3種類のくるみの仲間には、以下の3種類があり、食用栽培種は、中国へは4世紀頃、日本には10世紀頃、ペルシャグルミが渡来しています。

  • ノグルミ(【分布】本州・東海地方以西・四国・九州):実は食する
  • オニグルミ(【分布】北海道・本州・四国・九州):実は食する
  • サワグルミ(【分布】北海道・本州・四国・九州):実は食べられない

クルミの用途としては、洋間の造作材・家具など、食実以外に材は利用されて来ました。日露戦争前に日本で開発された帝国陸軍三八式歩兵銃の銃床には、日本産のオニグルミが使われています。ノグルミは、比較的小中木で、他の2種は10m~25m・径50cm~60cmが平均サイズです。日本に外国産くるみ・ウォールナットは、明治43年にアッシュ・オーク材と共にアメリカより輸入されています(篠田銘木店月報より)。

世界のくるみ属

イギリスウォールナット

写真①:イギリス種ウォールナット

原産地は、ヨーロッパ南部から、ギリシャ・トルコ・ペルシャをルーツとし、既にアメリカ南北にも原種として分布していたと言われています。ペルシャからシルクロードを通り中国へ、そして日本へと栽培用クルミが伝わったと言われ、漢字の”胡桃(くるみ)”の”胡”は、外国から伝ったという意味として字に残っています。胡麻(ゴマ)・西瓜(スイカ:西方よりの意)などについても、同じく外国から伝ったという意味として字に残っている漢字です。

ヨーロッパくるみは、食用以外、16世紀から17世紀にかけて、家具利用に重きを置いた時代の為、大径木から順に伐採され、資源的に現代まで枯渇気味で、一時アメリカくるみの輸入による手当材として、ツキ板等需要を賄った(まかなった)時期もありました。

ヨーロッパでは、イギリス種・ドイツ種・フランス種・スペイン種・イタリア種・トルコ・キプロス種と、産国により杢目・色彩が異なると言われています。ヨーロッパでは、オーク・アカシア・イチイ・ブナ等の巨木が、今でも大切に保存されていますが、くるみの木の巨木伝説は、不思議と聞く事がありません。

写真①は、ヨーロッパを代表するイギリス種のウォールナットです。黒味が深い色彩です。ドイツ・フランスは、茶系の褐色の挽肌が多いです。イギリス種を男性的に評価されるなら、他のヨーロッパのウォールナットは全般的に女性的な色彩と言えます。

アメリカ産・ウォールナット

樹高は30m~40m・径は2m以上の良材は、ほとんど現在残っていないと言われています。平均径60cm~90cmがアベレージサイズで、本サイズの材を中心に日本へ入ってきます。北はアメリカ5大湖廻り・南はアラバマ・ミズリー・カンザス・テキサスなどです。特に現在は、アメリカ中央部に備蓄量が多いと言われています。かつては、オハイオ・イリノイ・ウィスコンシンなど、湖に流れ込む川岸・湿潤な土地に、最大級の木が生えていたと言われています。ここアメリカに在来種と呼ばれるくるみの木の総称は、ブラックウォールナットと呼ばれます。一部同じくるみですが、カルフォルニア州を中心に見られるハインズウォールナットは、亜種とも言われていますが、気候・風等の影響が有り、他の地域より成長が遅く、小振りな材と言われています。

写真②③④は、アメリカくるみ・ブラックウォールナットの代表的な色彩と杢目です。

アメリカくるみ・ブラックウォールナットの代表的な色彩と杢目

写真②

アメリカくるみ・ブラックウォールナットの代表的な色彩と杢目

写真③

アメリカくるみ・ブラックウォールナットの代表的な色彩と杢目

写真④

移民の多くは、在来種のくるみの木を大切にし、食用を主に、家を日差しから守る為の日陰樹として利用して来ました。

クラロウォールナットのコブ杢目

写真⑤:クラロウォールナットのコブ杢目

写真⑤は、在来種のブラックウォールナット(カルフォルニア種)に、開拓民がヨーロッパくるみ種を接木・挿木した際、植物が持つ細胞が拒絶反応により、複雑な杢目を持つ材の総称(クラロウォールナット)です。

クラロウォールナットのコブ杢目

写真⑥:バストゥーンウォールナットの漣み杢

写真⑥は、カルフォルニア種のブラックウォールナット(別名ハインズウォールナット)が、自然交配雑して出来た材で、バストゥーンウォールナットと呼ばれます。1890年に発見された希少種です。バストゥーンウォールナットは、元々あったハインズ種のくるみと、ヨーロッパから持ち込んだくるみの木(接木無しで)自然交配雑した木です。

少し整理しますと、以下の通りとなります。

  • 北米大陸に生えている在来種(ネイティブ種)がブラックウォールナットです。
  • カルフォルニア以外でアメリカ産のくるみの木の総称は全てブラックウォールナットです。
  • ブラックウォールナットを別名ハインズウォールナットと呼びます。主にカルフォルニア州を中心に分布します。
  • ハインズウォールナットの株に、ヨーロッパ種を接木・挿木して出来た樹木をクラロウォールナットと呼びます。
  • ハインズウォールナットとヨーロッパ種のくるみが自然交配雑で生まれた樹木をバストゥーンウォールナットと呼びます。

ステッキとしてのウォールナット・くるみ

ステッキとしてのウォールナット・くるみ

写真⑧:ステッキとしてのウォールナット・くるみ

くるみ種はどの産地を取ってもステッキ材としても魅力がありますが、大径材から取材される巾広材は、テーブル・家具としては申し分ありません。なるほど世界三大名木と言えます。

ステッキシャフト曲りを入れて1m50cm×3cm丸の中に、面白い杢目を取り込むとなると、大きな材は価格面でも消化できず、無理があります。日本産のオニグルミも面白い杢がある物もありますが、ラカッポが選んだのは、霞状の杢目(かすみ)が出た地中海キプロス島産のくるみです。写真⑧の「A」、「B」、「C」を拡大して杢目を見て下さい。

色が少し濃い「D」の2丁は、最近入ったインド産のくるみです。これも数えられないような杢がビッシリ入った材です。この材も挑戦したいと思います。

よくある質問と回答

Q:日本に入ってくるウォールナット材は、他にどんな種類の材ですか?

A:アフリカ(ベニン・ディベトウ)・ニューギニア(ダオ)・オーストラリア(エディ・アンドラ)・ブラジル(インブイア)・中米(ジリス)・中米(カティボオ)などが有ります。世界的にウォールナットの家具材及び、家具用ツキ板に需要があり過ぎる為です。上記に掲げた材は、全てクルミ属の木ではありません。たまさか材質、木肌色がクルミに似ている材です。

クラロウォールナットは、歴史的にアストンマーチン・ベントレーのパネル材に、最近ではトヨタ・レクサスの内装にウォールナットの柾のツキ板が利用されています。

Q:その他ウォールナットで何かエピソードはありませんか?

A:イギリスのくるみ・ドイツのくるみ・フランスはロワールニシエール県のシャンポール域近くの渓谷、シャンポールウォールナット。全て現地挽したそうです。また、アメリカではブラックウォールナットに始まり、クラロウォールナット・ヘインズウォールナット・バストゥーンウォールナット等、自分で墨掛け、アメリカで製材、日本の倉庫で乾燥させ、自身設計の建物内にふんだんに使用した公共施設・住宅等を手掛け、日本の建築学会より数々の賞も頂いている方です。

つまり家具材で人気があったくるみ材ですが、ほとんど東京で見る機会があるのは、アメリカ産ブラックウォールナットだけで、上記のようにバラエティーに出材参考出品されるのは、この方のみです。

ラカッポでは得意な分野ではありませんが、出品を通して5年間学ばせて頂き感謝をしています。私は常々、木を極める方は、実際にその場所に行き、伐採・製材し、現物を見・お金を使った人。そう言う方々から学ぶ事は多いですが、出資もせず、口だけで物を知ったか振りをする人が多い銘木業界、猛省しなければなりません。

話しに登場した方は、齋藤裕(さいとう・ゆたか)建築研究所、代表齋藤裕氏(東京都渋谷区神宮前)です。著書には、「建築のエッセンス」があります。建築・材木業者は、まず見て下さい。

ウォールナット(くるみ材)についてのご紹介は以上です。続いて埋れ木(うもれぎ)をご紹介いたします。

木族の会(樹種辞典)

ステッキの材料となる様々な貴重な樹種についてご説明いたします。

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