パウサント(パオサント)は、マメ科、学名:ゾレルニア・パラエンシス、別名:ブラック・ハート、南米黒檀(日本に於て)と呼ばれます。産地は、ブラジル(マトグロッリド)、スル州(パンタナール)、ボリビア、パラグアイ等、国境地帯及びアルゼンチン北部(チヤケンハの森)です。樹木は、樹高20m~30m・径60cm~90cmです。
パウサント(パオサント)について
材面・色彩
製材時は神代を挽く時と同じで、淡いモスグリーンや濃いグリーンの色彩ですが、経年変化で濃赤褐色・濃黒褐色の中に黒い細かい縞も見られ、全体に黒色に近い淡緑色に変化します。写真①のNo①は、根コブ部分を挽いたばかりの色彩です。No②は、乾燥後は淡緑色が残る外見はなるほど黒檀に近い色彩です。マメ科とカキノキ科(黒檀)はやはり差異があります。
挽いたばかりは、リグナムバイタ・パロサントと同様な淡い緑色ですが、やがて油分の有る黒檀の様になります。ロウ、油分が有る為、仕上り材面は、美しく光沢が出ます。
加工時サンダーを当てると、ミルクコーヒー色の粉が出て来ます。
写真②のNo①No②No③はパロサントの根コブ挽材です。面白いトロピカル模様が有ります。
材の利用
装飾品・オブジェ彫刻や小物家具・象嵌材、ステッキ(杖)でも有名です。又この材から得られる香水(グアイ・アルコール)が含まれ、燃やすとスモーキーな薫香にもなります。
パウサントの根コブ部分は、いろいろな縞模様が有り、中にはオレンジ系の縞も見られます。写真④の材の小口を見ると”緑の魔境”と言った感が有ります。
材の今後
特に産地のブラジルでは、焼畑や違法伐採牧草地等の乱開発が進み、南米大陸中央部パンタナール(世界最大の淡水湿地帯・日本の本州と同面積)には、現在小径木だけが残存している状況で、この材の未来に暗い影を落としています。
ステッキとしてのパウサント(パオサント)
ステッキ業界では、古い時代、南米からわずかに原材料が入っていたと聞きます。又、名前が近い(パロサント)と混同して、異なった材を製品している例も有ります。老舗のステッキ店で、パウサント製品をお見掛けした事はありますが、前述の様にリグナムバイタ・パロサントと混同されている作品が数多く有ります。材の中には波状杢の有る材も見掛けますが、材が枯渇している現在、直材で杢目の面白い材が手に入りましたら、大曲りを一度曲げてみたいと思います。
パウサント(パオサント)のご紹介は以上です。続いてパオ・ローサ(パオローズ)その1をご紹介いたします。
木族の会(樹種辞典)
ステッキの材料となる様々な貴重な樹種についてご説明いたします。
ステッキ専門店【ラカッポ】について
ラカッポは、おしゃれなステッキ製作を手がけ国内外のお客様からご好評を得ている東京新木場のステッキ専門店です。株式会社山安によってプロデュースされています。ステッキのあらゆるオリジナルデザイン、意匠(銀細工・象牙彫刻・宝飾)に到るまでオーダーメイドによる製作を承ります。アンティークステッキ、思い出のステッキの手直しについても修理を承っております。
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