カエデ科の樹木は、日本国内で紅葉・楓(カエデ)類は28種、園芸種も含めて有り、世界を見渡すとメープル類は、200種近くあると言います。この種の樹木は、北半球に広く分布しています。
目次
紅葉・楓(かえで)・メープル材について
シカモアについて
ヨーロッパでは、バイオリンの背板に使われるシカモアで、その杢目はタイガーメープル(虎杢)と呼ばれ、特にバルカン半島(旧ユーゴスラビア)、ボスニアなど山間の寒冷地に良材が多いと言われます。イギリスやスカンジナビア半島まで分布しています。
日本に多く輸入されるメープルは、ハードメープルとソフトメープルです。特にハードメープル材がその多くを占めます。
2種類のメープルについて
わかり易く説明をしますと、アメリカの大地に育成する楓(メープル)は、アメリカン・メープル(ネイティブ種)で、ハード・ソフトと言うのは後にこの地に来た開拓民時代からの分け方です。アメリカ・カナダに分布するメープル材は、多少差異はありますが、樹高30~40m・直径60cm~1m近くの直材の木が多く、秋冬には紅葉後、落葉します。
分布はアメリカ大陸の北東(カナダ含む)部に集中します。北米ではメーン・ニューヨーク・ペンシルバニア・インディアナ・アイオワ・オハイオ・ウェストバージニア・ウイスコン・イソノイ各州です。カナダではケベック・ニューファンドランド・オンタリア・マニトバ・サンスカチュクン各州です。
この地域に、ハード・ソフトと関係なく、日本の国土面積の1.5倍の地域に分布生育しています。
ハードメイプル・ソフトメイプルの違い
ハードメイプルの乾燥材を100とすると、ソフトメープルは80%の比重・硬度を持って、比較的軽い材と言えます。これらは、表面に現れる杢目柄や、家具等や、楽器の用途により人が決めた基準です。
ハード・ソフトメープルとは
ハード・メイプル(別名ロック・メープルと呼ばれます)
代表されるメープルは、シュガーメイプル(砂糖楓)・ブラックメープルです。
ソフト・メイプル
代表されるメープルは、レッドメープル、シルバーメイプルがあります。ややこしいのですが、アメリカ大陸の西側(オレゴン・ワシントン州)の飛び地にビック・リーフメイプル・エルダー(ニワトコ材)も含まれます。
楓(かえで)・メープル材に現れる杢目について
木材断面は、辺材(白太)・赤身の境界は鮮明ではなく、全体は白乳白色を基調とした色彩で、光沢が有り、真珠の輝きと表現する人もいます。ツキ板にしても、無垢材として家具(棚・テーブル材)に適した一級の樹木です。古代エジプトでは、ファラオの寝台椅子に隣国シリアから貿易材として楓材も使われました。
アメリカでは、入植が始まったヨーロッパ移民は、自国のイギリス様式を持ち込み、ブナ・オーク類を用いていましたが、南部ではマグノリア(ポプラ・ユリノキ・朴)を使い、北部ではメープル材を主に、松・カバ類を使った家具が多く作られました。ここからが、メープル材の始まりです。
この材に現れる杢目は、縮緬杢(カーリー杢・キルテッド杢・バーズアイ杢)の3つが特に有名です。これらの多くはハード、メープル材に多いと言われ、バーズアイ杢は、メープル材全体を100とするとわずか10%内外しか現れない杢と言われ、貴重な杢目柄です。
写真②はメープル材です。①はキルテッド杢、②はバーズアイ杢、③はカーリー杢です。
キルテッド杢について
キルトとはラテン語で(物が詰った事)を表す言葉です。ヨーロッパや中東の寒冷地が発祥の地と言われ、綿木地2枚(表裏)の間に、綿(綿花)のわたを詰め、縫い合わせた1枚の厚い布地の事を言います。布にするまでの作業をキルティグと言います。
写真③は、キルト木地のモクモクした柔らかい雲が重なり合う杢目です。
現代のキルトは、布団・ベットカバー・日本では江戸時代より褞袍(どてら)・半纏(はんてん)が有り、アメリカンパッチワーク・ハワイアンキルトとして今も伝わっています。
メープル材の中に強い縮緬杢(鬼チリメン)を持つ材をカーリーメイプルと呼びます。その中にカール(捻れ)・リボン杢などが入った杢目の総称です。
バーズアイメープル(鳥眼杢)について
写真⑧⑨は、アメリカ産メープルの鳥眼杢(バーズ・アイ)と日本産楓の鳥眼杢の比較です。
写真中の①は、アメリカ産メープルの鳥眼杢(バーズ・アイ)です。 ②は、日本産楓の鳥眼杢です。材としては珍しいです。細かく鳥の目の形が有る材をバーズアイメープルと言います。
その他の杢目柄について
バーズアイ(鳥眼杢)・カーリー(縮緬杢)・キルテッド(刺し子杢)を代表に、リップルマーク(漣杢:さざなみもく)・リボン杢・フレイム(炎の先の杢目)・ブリスター(火・水膨れ杢)・吟杢(ぎんもく)・朧杢(おぼろもく)が入った魅力有る杢目があります。
写真⑩はキルテッドメープルと日本の紅葉材の比較です。写真中の①②は、キルテッドメープル。③はすべての杢目が入った国産材、日本の紅葉材です。
キルテッド杢は、たまたま私が付けた”刺し子杢”ですが、材面から浮き上がる様な貴重な杢目ですから、良いネーミングを付けて下さい。
ステッキとしてのメープル材
いろいろ試しましたが、セパレート型タイプではメープル材は使えますが、大曲り作品となると、身贔屓(みびいき)ではありませんが、日本の四季に揉まれ育んだ紅葉・楓に軍配が挙がります。
紅葉・楓(かえで)・メープル材のご紹介は以上です。続いて樫(かし)・オーク類をご紹介いたします。
木族の会(樹種辞典)
ステッキの材料となる様々な貴重な樹種についてご説明いたします。
ステッキ専門店【ラカッポ】について
ラカッポは、おしゃれなステッキ製作を手がけ国内外のお客様からご好評を得ている東京新木場のステッキ専門店です。株式会社山安によってプロデュースされています。ステッキのあらゆるオリジナルデザイン、意匠(銀細工・象牙彫刻・宝飾)に到るまでオーダーメイドによる製作を承ります。アンティークステッキ、思い出のステッキの手直しについても修理を承っております。
お問合せ・ご来店予約
ステッキ専門店ラカッポは、お客様のご要望をお伺いさせていただきながらフルオーダーメイドでステッキを製作、販売させていただいております。ご来店の際は、事前にご来店予約をお願いいたします。また、ご不明な点などございましたらお気軽にお問合せくださいませ。みなさまのご利用、お待ちしておます。