日本の楓(かえで)の代表は、イタヤカエデです。日本・サハリン・朝鮮半島・中国・ロシア(アムール沿岸地方)に広く分布します。カエデ科の落葉高木の植物で、秋口の紅葉(こうよう)時、赤では無く、黄色・オレンジ色に染まる種類です。仲間にカジカエデ・トウカエデがあります。平均種高10m~20m・径20cm~40cmのイタヤカエデは、一回り大きく径1m近い材もしばしば出材されます。イタヤカエデは、英名(ペインテッド・メープル)・エゾイタヤ・マイタヤ・アイヌ語(トペニ・樹液が出る木)とも呼ばれます。

楓(かえで)・メープル・イタヤカエデについて

用途

体育館・フローリング・スキー板・ボーリングレーン・ピン・コケシ・学童用の椅子・机など広範囲に使われます。材の中で杢のある物は、銘木材として床柱・調度品の表(おもて)板にも使われています。日本のイタヤカエデは、世界的に評価が高く、最近では特殊な杢目の有る物がバイオリンの側板(ヨーロッパシカモア)にも使われ始めました。また、旧日本の最大産地の一つ、埼玉県秩父地方は、イタヤカエデを生かし、そこから取れる樹液であるメープルシロップで新たな町興しとして、新しい産業としての第一歩が始まりつつあります。

上杢材

日本産イタヤカエデの杢比較

写真①:日本産イタヤカエデの杢比較

日本産のイタヤカエデの上杢材は、床柱「A」です。天然肌を生かした柱「B」、床框・落掛「BB」、角材にした「CC」など、材の持ち味を生かした仕上げ方をします。

日本産イタヤカエデとステッキ

国産のイタヤカエデから取材した各部位材

写真②:国産のイタヤカエデから取材した各部位材

写真②は、国産のイタヤカエデから取材した各部位材です。外材に負けない鳥眼(ちょうがん)・バーズアイも出ます(拡大して見て下さい)。

イタヤカエデを使った大曲り品木地

写真③:イタヤカエデを使った大曲り品木地

写真③は、イタヤカエデを使った大曲り品木地です。木地色に拭き漆を掛けた製品です。木地では、見栄えがしない為、調色(色付け)等が昔より施されて来ました。

外国の楓(カエデ)材・メープル材

カエデは、北半球の温暖な地方に産し、北アメリカ、ヨーロッパに分布しているヨーロッパ材は、シカモア材と呼ばれます。この材が持つ細かい虎目・縮緬杢は、バイオリンの製作上、側板に用いられます。また、スポーツでは、ポロ競技のステックにも使われます。
北アメリカでは、ハードメイプル(ロック)・ソフトメープルに分類され、北米産メープル種13種の内、ハード(2種:シュガーメイプル、ブラックメイプル)、ソフト(3種:レッドメイプル、シュガーメイプル、ブラックメイプル)が主に利用されます。ソフトメープルは、ハードメープルの20~30%軟材の違いがあります。

ハードメイプルは、よく鳥眼杢(ちょうがんもく)・バーズアイが現れ、独特の杢目は家具・音楽関係で欠かせない材となっています。日本に入ってくるメープル材の多くは、ハードメイプルです。

しかも安価な為、今では加工のし易さから、くり抜き、棒状材に始まり、玩具にまで使われています。日本のイタヤカエデと共に、カナダのサトウカエデもメープルシロップの樹液が取れ、そのサトウカエデの葉の形がカナダ国旗の元になっています。

葉の尖った部分の別れた所が11ヶ所・葉元枝1ヵ所を加えて12・国を構成する10州と2準州を表していると言われています。話がうますぎますね。

ステッキとしてのメープル

外国産メープルとの違い

写真④:外国産メープルとの違い

写真④の「A」は、日本産イタヤカエデのシャフト材です。「B」の3本は、ハードメイプル輸入材から、製材したシャフト材です。

イタヤカエデは、経年変化で白から淡黄色に変化しますが、調色(色付け)は必要です。ハードと言えども、日本産に比べれば加工はし易いです。杢目の現れ方は、国産のイタヤカエデに軍配は挙がります。現在、北海道・埼玉と一昔前の産地に行っても、大径材の出材はありません。かつてテーブル材仕立の板からのリメイクステッキ等、作り直しの板材から取材しているのが現状です。イタヤカエデは、今後国産から全て北米メープルへと既に激変した時代に入りました。

イタヤカエデの素材板

写真⑤:イタヤカエデの素材板

製材して5~6年経たイタヤカエデの素材板です。白色から淡黄材に変化しています。巾65cm以上ありますが、ステッキを取るのに苦労します。

楓(かえで)・メープル・イタヤカエデのご紹介は以上です。続いて樫(かし)・オーク類をご紹介いたします。

木族の会(樹種辞典)

ステッキの材料となる様々な貴重な樹種についてご説明いたします。

木族の会(樹種辞典)