ケンポナシ(枳椇・玄圃梨)について

ケンポナシは日本全土・朝鮮半島・中国(温帯地方)にわたり広く分布しています。又、佐渡・伊豆大島・対島・五島列島の島々にも分布しています。庭木や里木等にも植えられます。クロウメモドキ科の落葉広葉樹で、樹高20~25m・直径60~70cm、稀に1mを超す巨木も有ります。日本では関東以西、特に九州に良材が多いと言われます。

ケンポナシ(枳椇・玄圃梨)

ケンポナシ(枳椇・玄圃梨)

材の用途について

材の用途は古くから桑に似たザングリとして柔らかな杢目立から桑の代替材として、建築では床柱・床脇・床板類として、床ノ間を中心に使われました。指物の世界でも、家具・調度品・文机・箱物など多くの作例が見られます。材面は黄褐色から紅褐色の色彩の中に、玉杢・縮緬杢が現れる材は、高額で取引されます。戦前の皇居でのレセプション会場では、桑(御蔵桑)が椅子の多くに製作され使われましたが、戦後の一時期、桑に代わってケンポナシの椅子が使われ、この材の供給量が間に合わず、アメリカからメープル材を取り寄せたと言われています。

ケンポナシの意外な使われ方について

削り上げた材面は、ケヤキ・センダンにも似ていて、漆仕上りをすると桑を含み判別が付かない程、光沢が増し、木地と違った趣きを感じさせます。

ステッキとしてのケンポナシ

写真①①はケンポナシ、②は桑の漆し仕上り品

ケンポナシ(枳椇・玄圃梨)

写真②①はケンポナシの柾目材(縮緬杢目)、②はケンポナシの根杢(ステッキのハンドル取材用)

杢の有るケンポナシは、応接間等の壁面材として、洋間にマッチし、日本材なのですが不思議と洋風な建物の内部に溶け込みます。同じ様に洋風に溶け込む日本の材があります。それは赤松(天然唐松)です。京都では栂(つが)普請と言って、上等な建築材として”和”の住宅に使われますが、主に東京では赤松(天然唐松)普請、特に洋風の高級住宅にケンポナシと共に使われました。これは材が持つバター臭さがモダンと写った為と思われます。

この赤松、余談になりますが、明治大正期、ごく一部の数寄者や木道楽者が赤松を使った住宅を作りましたが、戦後広く使われ出したのは、建築家吉田五十八と言われています。

ステッキとしてのケンポナシ

ステッキとして長さ1200~1500mm、径にして30mm丸、杢がバランス良く乗る材は珍しく、又産地・市場等での出材も少ないです。もともと日本の樹として、備積量からして少なく良材をストックするのが難しい材の1つです。漆仕上りを施すと桑材共に遜色なく、プロでも判断が付かない程です。ラカッポでは、大曲品で本8~12万円、杢目のあるAクラスで本20万円~25万円程です。

ステッキとしてのケンポナシ

ステッキとしてのケンポナシ

よくある質問と回答

Q:ケンポナシのエピソードは何かありませんか?

A:ケンポナシはクロウメモドキ科ですが、バラ科(ナシ属)に山梨(ヤマナシ)があり、猿梨(サルナシ)とも言われ、現在の山梨県の言葉の由来になっています。実は酸味が有り、ケンポナシの実(甘い)と共に野生動物も好んで食べます。ケンポナシの由来は諸説ありますが、雄蕊の形が倹先に似ているので剣穂梨と言われたという説があります。又、天保の飢饉(1833年~1839年)の際、この木の実まで食べ尽くしたと言われ、それ以来東北では、天保梨(てんぽなし)と言われたと言います。

又江戸時代の初めから各地方・地方名前が分からず珍しい樹木をナンジャ・モンジャの木と呼びます(ホルトノキ・バクチノキ・ヒトツバタゴ)。今では植物学上分類されていますが、ケンポナシも木立の形・葉の形状から、ナンジャモンジャの木の1つと言われています。

ケンポナシ(枳椇・玄圃梨)のご紹介は以上です。続いて紅木(こうき、こーき)をご紹介いたします。

木族の会(樹種辞典)

ステッキの材料となる様々な貴重な樹種についてご説明いたします。

木族の会(樹種辞典)

ステッキ専門店【ラカッポ】について

ラカッポは、おしゃれなステッキ製作を手がけ国内外のお客様からご好評を得ている東京新木場のステッキ専門店です。(有)東京数寄屋倶楽部によってプロデュースされています。ステッキのあらゆるオリジナルデザイン、意匠(銀細工・象牙彫刻・宝飾)に到るまでオーダーメイドによる製作を承ります。アンティークステッキ、思い出のステッキの手直しについても修理を承っております。

会社概要

会社概要

会社概要

コンセプト

コンセプト

コンセプト

購入前の知識

購入前の知識

ステッキ購入前の知識

商品情報

商品情報

商品情報

お問合せ・ご来店予約

ステッキ専門店ラカッポは、お客様のご要望をお伺いさせていただきながらフルオーダーメイドでステッキを製作、販売させていただいております。ご来店の際は、事前にご来店予約をお願いいたします。また、ご不明な点などございましたらお気軽にお問合せくださいませ。みなさまのご利用、お待ちしておます。