高麗美術館に行く
過日、京都高麗美術館を訪ねてきました。この美術館は地元の方、タクシーの運転手さんにも知られていないほど穴場的な美術館です。
高麗美術館
この美術館を作った方は鄭詔文(チョンジョムン)という方で、半島より日本に6歳の時に渡り、貧困の中苦労を重ねて京都に根差した実業経済人であり、土地含めて日本でコレクションを収集し、私財を投げうって設立した美術館だそうです。
”李朝後期”を中心に1700点を集めて順次展示しています。
文化人とも親交があり、美術家入口の表札は、作家司馬遼太郎氏の揮毫です。
展示は”小さくともキラリと光る美術館”、”身の丈にあった美術館”を心掛けて収集されたそうです。
展示品の中で私が目を引いた家具です。
木部の上に鮫皮の総張りに螺鈿や金線刻が施された技術の高さのすばらしい李朝家具の逸品です。
もちろん日本でも民芸・美術品として好まれファンが多い李朝家具や青磁白磁も数多く展示しています。
2階のテラスには日本の壷・甕も含めて大陸半島の大小壷、甕が文化の流れがよく分かるように展示されています。
石人像
1階入り口中庭に配置されている古代朝鮮王朝の墳墓の守りとして置かれた動物(虎・ラクダ・羊)をはじめ文官・武人・童子各石人像が所狭しと置かれていて圧巻です。
朝鮮石人像は素朴で民芸的文化要素に加え顔に何とも言えない愛嬌があります。
日本でもファンが多く、料亭の玄関口にはじまり庭の中心に置かれたり骨董店、画廊にも何気なく置かれているのを見受けます。
美術館のショップで購入した高さ15㎝のミニ石人像(大理石製2,000円)です。
眺めるもよしデスクのペーパーウェイトでも良し、小さくても不思議と心が落ち着きます。
朝鮮半島の文化の美しさ、言語、イデオロギーを超えて、現代に伝えたいという設立者の思いが強く伝わってきます。
まわりは緑に囲まれ閑静な住宅地にひっそりと建つ高麗美術館、ぜひ足を延ばしてでも行ってみてください。
ラカッポの石人像
ステッキ・ラカッポショップの入口にも新物レプリカ作品ですが文官像を来店の際、無事と邪気を祓う願いを込めて置いています。