世界の3大杖(つえ)とは?ヘルメスの杖・アスクレピオスの杖・モーゼアロンの杖
世界の3大杖(つえ)とは?ヘルメスの杖・アスクレピオスの杖・モーゼアロンの杖
ヘルメスの杖
ヘルメスはギリシヤの神々12人の1人で、神々を束ねる天空の王者ゼウスの実子(末子)です。幼少の頃から頭脳・明晰で、成長してから父ゼウスの伝令役として、翼(つばさ)を持つ兜・サンダル・杖を用いて空を飛び、下界の人々に伝令文を伝えたと言います。本来の頭の良さと、人が何を考えているのかをその神通力で読み通す”力”がある事から、商業・貿易・旅人の神と言われています。ローマ神話(メルクリウス)も同じ神として同意語です。英名では、マーキュリーと呼ばれます。
写真はラカッポに有るヘルメス像のブロンズ製です。本来は翼(つばさ)の有る杖を持っていましたが、現代風のステッキに置き換えています。台座の口から正に飛び出そうとする口元はゼウスとされ、さすがイタリアのブロンズは造り、表現方法が違います。
アスクレピオスの杖
同じくギリシヤ神話に登場する神々12人の内、1人アポロンの実子です。粗暴なケンタウロス(半人・半獣)族の中で、まったく別の生き方(洞窟住まいをし、病人を助けながら)をしているケンタウロス族の賢者のケーロンのもとで育てられました。ケーロンからは医学・医術のすべてを学び成長した頃、死者を蘇えらせる術も身に付けました。その術は”蛇の脱皮”からヒントを得たと言います。死後天空の”へび座”に置き換わり、持っていた杖に1~2匹の蛇が絡む様になったと伝えられています。蛇と杖の形は、医学のシンボルとしてWHO(世界保健機関)や病院にも医学系の大学の記章に使われています。日本の救急車両の横にもこのマークが描かれています。
モーゼ・アロンの杖
”旧約聖書”の”出(ゆつ)エジプト記”に登場するイスラエルの神から授かった杖を示します。モーゼの実兄がもともと持っていた物ですが、モーゼが持つ事により霊力・魔力を持ち、このアロンの杖で、時のエジプト王国に懲らしめと罰を与えたと言われています。その魔力とは、以下の内容です。
- アブ・ブヨの発生
- 家畜疫病の発生
- 雹(ひょう)を降らす
- イナゴの大群を発生
- 杖を蛇に変える
- ナイル川を血の河に変える
- 蛙の大群の発生
- 暗黒の夜
- 雷鳴の発生
- エジプト人の長子抹殺
その他、エジプト脱出時に紅海を割り道を作ったり、エジプト軍を殲滅(せんめつ)させたり、砂漠に杖を持って水を湧かせたりと大活躍をします。
これらの事柄は、映画十戒(じゅっかい)でも描かれています。3大杖の内、唯一この杖の材料の事が出て来ます。中東を原産とするアーモンドの木です。アカシアの木で造られた”契約の箱”にマナの壷・十戒が記された石板と共に納められたと伝えられています。モーゼが持っていた牧羊杖ならある意味再現は可能ですが、アーモンド材の木地大曲りステッキとなると、木の太さから言って難易度が高く難しいステッキ素材の1つです。