チューリップウッド

チューリップウッド

チューリップウッドの学名は、ダルベルギア・フルティセンスと言い、ツルサイチカ属のマメ科の樹木です。樹高10m未満、直径も細く25cm~30cm止まりです。南米ブラジル東南沿岸部バイア州が産地と言われています。ピンク・ウッド・パオロサの別名があります。材面は淡色のクリーム地の中に、桃色・黄色・赤紫・黒褐色などの美しい縞を持った材で、その色彩柄がまるでチューリップの花を思わせる色彩から、チューリップウッドの冠名が付いたと言われています。ローズウッドの種類の中でも、バラの芳香に甘みを加えた強い香りを持ちます。

チューリップウッド(ブラジリアン・チューリップウッド)について

チューリップウッド材

写真①:チューリップウッド材

材の使用では、長い歴史がありますが、備蓄量がもともと少なく、大径材ではないので、象嵌材や寄木細工・フローリング(パーケット)にしばしば使われました。特に18世紀フランスの装飾家具の額縁や枠材などに愛用され、現代でも特異な化粧枠・宝石箱・オルゴールの象嵌材に使われます。又、材の不足からツキ板として利用される事も多いと言います。

チューリップの冠名がある樹木について

①ユリノキ(チューリップツリー)

アメリカ・アパラチア山系を中心にイリノイ・オハイオ・ルイジアナ各州に自生する樹木で、モクレン科の中高木です。日本には明治期に園芸種として、公園木として入り、今では街路樹として植えられています。別名イエローポプラとも言われ、ポプラの中で3種類を総称して”マグノリア”と言います。朴やポプラの淡い色彩です。花は正に枝から逆さまに咲くチューリップ(淡白黄)を思い起こす為、開拓移民は”チューリップツリー”と呼びました。葉の形が、日本の印半天(しるしばんてん)・法被(はっぴ)に似るので、半天木(はんてんぼく)の異名があります。

イエローポプラの材面

写真②:イエローポプラの材面

ユリノキの材面

写真③:ユリノキの材面

②チューリップウッド(英名)・縞紫檀・チンチャン

15世紀~17世紀の大航海時代、ポルトガル・スペインは、西インド諸島、中米・南米と新たな新天地の発見に伴い、莫大な財を築きました。樹木では、マホガニーの発見は、ヨーロッパの家具様式に大変化をもたらせました。マホガニー・ローズウッド類・チューリップウッド等、新大陸で発見された多くの材が、ヨーロッパに供給されたと言います。

その中でスペインが、中南米に夢中になっている頃、隣国ポルトガルやイギリス・オランダの冒険家達は、逆回り(アフリカを経て)アジア東洋に目を向け始めます。イギリスは、アメリカにある豊富なメープル材・ポプラ材に目を付け、ポルトガル・オランダ・イギリスの順にアジアを目指し、その地の香辛料と共に、チーク・黒檀・紅木・インドローズなど、中南米以外の材をヨーロッパにもたらしました。樹木はこのように植民地、搾取材としての暗い一面があります。

チューリップウッドと同じダルベルギア科マメ科で、樹高25m、直径1mに達するタイ・ビルマ・ラオスの森から、紫檀と共に切り出され、多くの材がイギリスを通じて本国に送られたと言います。ビルマ産のローズウッド材として、色彩・材面杢がよく似ていた為、英名でチューリップウッドと言われています。

ブラジリアン・チューリップウッドによく似た縞紫檀・チンチャン材

写真④:ブラジリアン・チューリップウッドによく似た縞紫檀・チンチャン材

縞紫檀・チンチャン材とチューリップウッドの比較

写真⑤:縞紫檀・チンチャン材とチューリップウッドの比較

私見ですが、南米ボリビア等に産するモラド・パープルウッドもチューリップウッドに材面・色彩が似ていると思います。

チューリップウッドを一躍有名にした”チューリップウッドカー”について

イスパノ・スイザと言う自動車製造会社は、スペインの実業家、J・カストロと、スペイン人技術者のマルクビルキヒトの両名により、1904年に設立されました。出身国のスペインとスイスに因み、イスパノ・スイザと言います。この会社は今日でも世界の富豪家からスーパーカーを受注しています。時は1924年、フランス人の富豪でワイン王と呼ばれたアンドレ・デュポネ氏の依頼により、”チューリップウッドカー”は製作されました。今日で言うスーパーカーです。当時発見されてから100年も経っていないアルミニウムを使いボディの外側に、ブラジル産のチューリップウッドを贅沢に架装(改造・特注仕様)され、車の車輪のフェンダー等の曲げ加工は、自分のワイナリーのワイン樽作りの職人に曲げ加工をさせたと言います。

当時完成した車は、美しい色彩でいろどられ、デザイン性はイギリスのロールスロイスを凌駕すると話題になりました。この実車は、現在アメリカカルフォルニア州にあるブラックホーク自動車博物館に、名車の芸術品約90台の一台として陳列されています。

ベーリング作1/15スケールの”チューリップウッドカー”作品

写真⑥:ベーリング作1/15スケールの”チューリップウッドカー”作品

実車は、本物のチューリップウッド材を使い13,000個の真鍮(しんちゅう)鋲で材を継いだと言われています。写真はプラモデラーの元祖、ゴードン・M・ベーリングの作品です。イギリス人(1934~2019)モデルエンジニアで作家でもあり、緻密工作に秀でた人物です。当時の素材に始まり、エンジン細部まですべて手作りが基本で、原寸通りの作り方をする事でも有名です。生涯1911年製~1975年製までの世界の名車を15~20分の1のスケールで、約200台作り上げています。ちなみにオークションでは、1台500万~1,000万近くするそうです。

チューリップウッドカー

写真⑦:チューリップウッドカー(フロント)

チューリップウッドカー

写真⑧:チューリップウッドカー(センター)

チューリップウッドカー

写真⑨:チューリップウッドカー(リア)

最近のチューリップカー・モデルカー(1/25スケール、フランク・ミント社製)

写真⑩:最近のチューリップカー・モデルカー(1/25スケール、フランク・ミント社製)

最近のチューリップカー・モデルカー(1/25スケール、フランク・ミント社製)

写真⑪:最近のチューリップカー・モデルカー(1/25スケール、フランク・ミント社製)

外装はチューリップウッドのツキ板を使用しているとの事です(パオローズでは?)。

昔のカー雑誌のイラスト画

写真⑫:昔のカー雑誌のイラスト画

  • ※文中のワイン王、アンドレ・デュポネ氏の事もどの様な経緯で富豪になったのか、著名なワインソムリエに問い合わせしましたが不詳との事です。
  • ※18世紀のフランス・王侯貴族に単に愛された又、名の由来がチューリップ型の木彫品の作品がある為と言いますが、美術館での作品・写真等は見つからず仕舞いです。

どなたか上記の事を知っている方がいましたら、電話、もしくはメール(お問い合わせフォーム)よりご連絡頂ければ幸いです。

実車は見ていませんが、この車の1/15スケールの写真を洋書で知り、当時の富豪のやる事のスケールの大きさに改めて敬意を持った次第です。

チューリップウッドの資源の行方について

この材は歴史的に長い間、少量使われて来た事が幸いし、ブラジルの経済発展・開発の荒波に飲み込まれ消えずにいたのが不思議です。ワシントン条約にも指定されず、絶滅危惧種や危急(ききゅう)を用する樹種指定にもならず、現在確実に備蓄量を減らしていると想像できます。大事に使って行こうと思います。

ステッキとしてのチューリップウッド

狭いステッキ業界では、この材を使った完成品を私は見た事がありません。運よく在庫がありましたので、じっくり材料を寝かせ、大曲りステッキを作成したいと思います。上品な仕上りのステッキになると思います。まずハンドルからの作成ですね。

調査してわかった事

チューリップウッドカーに使用されていた材は、他の材を使っていた説がありますが、マホガニー・ポプラ・縞紫檀を代替品に使ったと言う事はありませんでした。この車はレーシングカー仕様で、乗る人の体重・ボディ重量の点、発注者のこだわりの点からも言えます。又、他の材でしたら、鋲打ちにせず、材の体積から刳り出し(くりだし)の木型が作り出せるからです。

独特な鮮やかな色彩材・小口断面

写真⑬:独特な鮮やかな色彩材・小口断面

異彩を放つチューリップウッド

写真⑭:異彩を放つチューリップウッド

ローズウッドの種類と分類

ローズウッドの種類と分類については、以下のページでご紹介しています。
ローズウッドについて

チューリップウッドのご紹介は以上です。続いて手違い紫檀(チンチャン・縞紫檀)をご紹介いたします。

木族の会(樹種辞典)

ステッキの材料となる様々な貴重な樹種についてご説明いたします。

木族の会(樹種辞典)

ステッキ専門店【ラカッポ】について

ラカッポは、おしゃれなステッキ製作を手がけ国内外のお客様からご好評を得ている東京新木場のステッキ専門店です。株式会社山安によってプロデュースされています。ステッキのあらゆるオリジナルデザイン、意匠(銀細工・象牙彫刻・宝飾)に到るまでオーダーメイドによる製作を承ります。アンティークステッキ、思い出のステッキの手直しについても修理を承っております。

会社概要

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