西欧では、古くからステッキ=武器と最初から製作されるステッキが流行していました。これは王族・貴族の華やかさとは裏で、富と権力闘争や、女性を巡る決闘や争いが絶えなかった事が背景にあります。

ステッキ十徳!!ステッキは武器になる。は本当か?

フランスを中心に、写真①のような仕組みステッキが流行しました。刀身は短く(相手を主に刺す事に重きを置いたフェンシングタイプ)、本体の棒に仕込むのに細さが、利点とされました。

仕込みステッキ

写真①:仕込みステッキ

銃を仕込んだステッキ

写真②:銃を仕込んだステッキ

エイブラハムリンカーン大統領

写真③:エイブラハムリンカーン大統領

日本では特に”座頭市”でお馴染みの仕込杖がありますが、時代考証的には映画とは異なります。それは日本刀の特長からあり得ない事です。

峰部分の反りがあり、研き減らすと構造上、欠点が生じ身巾の厚みから、映画のような杖の細さは出来ません。

写真②は、少し時代が下がった頃、主にアメリカを中心に流行した銃を仕込んだステッキです。写真では紹介できない程のタイプのステッキが製作されたそうです。

写真③は、エイブラハムリンカーン大統領の身を守る為友人が(打撃能力がある)ステッキを贈る場面の挿絵です(ステッキの下部に、飛び出した節が見られます)。こののち、観劇中に凶弾に倒れる不幸な事件が起こります。

日本では仕込杖の発生は、歴史的に明治の中頃までです。ヨーロッパタイプは発生していません。映画「るろうに剣心」に出てくるように、幕末、明治、大正、昭和にかけて暗殺事件、テロが頻繁に起こります。

明治期より、政治家をはじめ院外団(壮士、国士)書生に至るまで、護身を兼ねてステッキが流行したのもそんな理由の一つがあります。

特に政治家は、旧士族出身者が多く、剣の道では心得があります。当時ステッキは1本で暴漢を撃退させた逸話が残られています。自分の手許・手首に絡むような大曲り部分の角度を変えたステッキを職人に注文したと言いわれています(これは一般に剣道の心得があり、身を護るのに咄嗟時、手首から曲がりが抜けない工夫をする為)。

大正11年、大輝丸事件と呼ばれる日本人海賊による外国人殺害事件がありました。この事件の立役者・首謀者が次に紹介する江連力一郎氏です。

若くしてあらゆる武道に精通していて、自称30段と豪語していた壮士猛者で、天にかわって正義を下すのが信念で、事件を起こしたと述べています。

愛用のステッキ1本で、護身術を書いた著者でもあります(ステッキ術江連力一郎著(えづれりきろう八幡書店))。興味ある方はご覧ください。本の序章に、愛用のステッキ1本持って老若の別なく万が一の時、身を護り得るとしたらこんな結構な事はあるまい。と書かれています。

現代、ステッキを持っていても法律には掛かりません。しかし護身の点でみると、唯一持ち運びができる武器です。ステッキの十徳は言い当てていましたね。

日本人のモラルが低下している昨今、新幹線内の凄惨な事件を始め、通行人同志の争い事、特に老人を狙った引ったくり事件など、眉をひそめる事件が多発しています。ステッキ店として、ステッキを持って戦へ!!と美化・称賛しているのではありません。自分を守れる物は何でしょう!!

ステッキ術の本に登場する写真

写真④:ステッキ術の本に登場する写真

ステッキ術の本に登場する写真

写真⑤:ステッキ術の本に登場する写真

現在、棒を使った杖道(じょうどう)という武道があります。全国の大学には、10校を数え、数は少ないですが、町道場サークル活動として20余りあります。

ステッキ杖道をぜひ、若い人からもっともっと復活して頂きたいと思うばかりです。

ステッキ十徳より。

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会社概要

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