オランダ水牛「ステッキに使われる角(つの)材」についてご紹介いたします。

オランダ水牛「ステッキに使われる角(つの)材」

悠久のお話し

牛が人に家畜化されたのは、今から9,000年前と言われています。では、その以前の牛はと言うと、何と古く約30万円前に現在私達が目にする乳牛や肉牛・和牛の全ての元は、オーロックスと言われる原牛だそうです。中央アジアから東インド、中東北はバイカル湖まで、西はバルカン半島・北アフリカ・東西ヨーロッパに至るまで、ユーラシア大陸すべてに生息していたと言います。驚く事に中世(1627年)まで、コーカサスの1部やフランス・ドイツ・ポーランドの森の中に、ひっそりと生き付いていたと言います。これは当時の、領主が自分の領地の森に狩りを目的として残しておいた牛だそうです。

写真①は、絶滅後、人が人為的にオーロックスの特徴を持つヨーロッパにいた牛の交配の繰り返しにより生まれたクローン化した牛です。写真②は、かつてヨーロッパ全土に生息していたオーロックスの骨格標本です。

人為的にオーロックスの特徴を持つヨーロッパにいた牛の交配の繰り返しにより生まれたクローン化した牛

写真①:人為的にオーロックスの特徴を持つヨーロッパにいた牛の交配の繰り返しにより生まれたクローン化した牛

ヨーロッパ全土に生息していたオーロックスの骨格標本

写真②:ヨーロッパ全土に生息していたオーロックスの骨格標本

洞窟の壁面に描かれている時期もラスコーとアルタミラでは、5,000年の開きがありますが、今は完全に絶滅したとされるサイ・ライオン・ヒョウを始め、気候変動をくぐり抜け良くオーロックスは、中世まで生きていたと思うと考え深い物があります。写真⑤の「A」のハイブリット化したヨーロッパバイソンは、ポーランドに400頭ばかり現在も居ますし、アメリカ大陸には西部開拓史の中に出てくるアメリカバイソンも、元はオーロックスの枝分かれが東へ移動し、シベリアを通って北米大陸に渡ったと言われています。

スペイン・フランスの洞窟の壁に残された動物画を描いたのは、旧石器時代のクロマニヨン人と言われています。

写真③:スペイン・フランスの洞窟の壁に残された動物画を描いたのは、旧石器時代のクロマニヨン人と言われています。

フランス・ラスコーの壁画(今から1万5千年前)

写真④:フランス・ラスコーの壁画(今から1万5千年前)には、写真①のオーロックスが描かれています。他に野生馬・オオツノ鹿も描かれています。

スペイン・アルタミラの壁画(今から2万年前)には、コブ牛の野牛や、現在のバイソン・トナカイ・毛サイも描かれています。

写真⑤:スペイン・アルタミラの壁画(今から2万年前)には、コブ牛の野牛や、現在のバイソン・トナカイ・毛サイも描かれています。

牛は人間が考えるより、自然界でもウシ科の別種同士でも自然交配が可能だそうです。しかし、水牛類は無理で、インドのコブ牛は、オーロックスの血を引いている事、バイソンも最近の遺伝子情報で、30万年と悠久の自然界で交配が続き、何種類かの牛の種も形成していったと言われます。

さて、オランダ水牛の話に戻りますが、大航海時代(14c~17c)、大陸へ向けて当初は、干牛肉を一杯積んでの航海ですが、このオーロックスの血を引く、家畜化された牛(東ヨーロッパに点散した牛)を北アフリカ、南アフリカと中継地をまたいで、船に積まれたと言います。小山隆司氏に話を伺うと、オランダ水牛の最高材は、アフリカ大陸の南モザンビークから、北は紅海に至る大地溝帯(タンザニア・ザンビア・ケニア・エチオピアにある火山による大地の割れ目)地域の土壌は、パンパローム層と言われた赤色の大地です。

これらの放牧牛の角(つの)は、赤い大地に生える草類を食べて育っている為、色彩豊かな良質の材が取材出来、オランダ水牛の最高材だそうです。小山氏は、世界中の牛の角のバイヤーとして、アフリカ諸国・アジア諸国すべて現地に出向いて買付をした方です。

ここからは私の説ですので、間違っているかもしれませんが、人工飼料では無く、赤い土壌、放牧と条件が揃い、直オーロックスの血を引く牛の交配に寄る事が大きかったと思われます。なにせ30万年前から16c頃まで、純粋のオーロックスが生息していた事実、今日見る牛の種の元がオーロックスと言われていて、遺伝子解析を待つしかありません。こんな悠久の牛の角(つの)材なので、御客様も少しだけ光を当てて下さい。

よくある質問と回答

黒水牛・オランダ水牛の角(つの)材に関する、よくある質問と回答を以下にまとめます。

Q(質問):オランダ水牛とはどんな水牛なのですか?

A(回答):オランダ水牛とは呼ばれますが、水牛ではありません。皆様も知っている一般に言う牛の角(つの)材を指します。水牛と呼ばれるのは、アフリカ・東南アジアに生息する黒色水牛の事を指し、主に東南アジア産の水牛の角(つの)から取材します。

Q(質問):ではなぜ”牛”なのに、オランダ水牛と呼ばれるのですか?

A(回答):オランダと冠が付いているのは、当時列強と言われたヨーロッパ諸国が、海外に植民地を持っていて、それら産出する国々の宝石・毛皮・木材等貴重な物品が、当時オランダのアムステルダム(14c~15c)が集積港であった為、当時王侯・貴族の装飾品を加工する職人集団があった為と言われています。

例えば宝石のダイヤモンドと言えば、研磨技術ではアメリカ・イギリス・オランダが独占していて、今でもダイヤモンドの取引所としては、アメリカ(ニューヨーク)・イスラエル(テルアビブ)・ベルギー(アントワープ)が有名なのと同じです。

Q(質問):オランダ水牛の原材料は、どこの国から入荷するのですか?

A(回答):昔はアフリカのタンザニアや、その周辺国から輸入されていましたけれど(特にアフリカの牛の角(つの)は良質とされ、放し飼いで大地の草を餌としている点)、現在は、南米やオーストラリアの牧畜牛の肉牛種が多いと言われています。管理されている牛(人工飼料等の事)も有り、大きな角(つの)や、良質材は少ないと言います。その角より、印材なりステッキ部材等、白い部分のみを白水牛材と呼びます。

Q(質問):黒水牛の原材料は、どこの国から入荷するのですか?

A(回答):昔はインド北部、東南アジア(フィリピン・タイ・カンボジア・ミャンマー・ラオス・ベトナムなど)の広範囲に野生種が生息分布していましが、近年の自然保護により、角(つの)の輸入はありません。現在は広範囲の国々の水田耕作用の畜産の牛の角(つの)材に頼っている感があります。

綺麗にマーブル状の模様が有るステッキハンドル材

写真⑥:綺麗にマーブル状の模様が有るステッキハンドル材

写真⑥は、綺麗にマーブル状の模様が有るステッキハンドル材です。「A」は印材、「B」は大きな角(つの)のようでも、中は空洞というケースが多いです。

漆黒の色彩が魅力の野生種から取材した黒水牛のステッキハンドル材

写真⑦:漆黒の色彩が魅力の野生種から取材した黒水牛のステッキハンドル材

写真⑦は、漆黒の色彩が魅力の野生種から取材した黒水牛のステッキハンドル材です。「A」は黒水牛の印材、「B」は黒水牛の先端部分です。野生種は、良材ですが、角(つの)に傷がある場合もあります。

Q(質問):今後の見通しはどうなりますか?

A(回答):ステッキの石突部分は、ストック量が多く在庫がありますが、ハンドルに関しては牛・水牛共大きな角(つの)は、今後日本への入荷は確実に少なくなる傾向にあります。又、ハンドル材を曲げる業者が高齢化が進み、職人さんがいない状況です。象牙材と同じ運命が待っていると思います。買って頂きたいと思っている訳ではありませんが、早目に手当てされる事をお奨めします。

お話し取材協力は、印材にこの人有りと言われる東大阪・小山交易の小山隆司氏です。

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ラカッポは、おしゃれなステッキ製作を手がけ国内外のお客様からご好評を得ている東京新木場のステッキ専門店です。(有)東京数寄屋倶楽部によってプロデュースされています。ステッキのあらゆるオリジナルデザイン、意匠(銀細工・象牙彫刻・宝飾)に到るまでオーダーメイドによる製作を承ります。アンティークステッキ、思い出のステッキの手直しについても修理を承っております。

会社概要

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