杖のはじまり、ステッキ文化のはじまりからお話しするには、ステッキ屋としては15年しか経験がありませんし、まして風俗学者ではありませんので、全てはとても語れません。しかしいつか上手に分かり易くお話しできるように努力したいと思います。今回の雑記帳は、将軍とステッキ・杖(つえ)です。
将軍とステッキ・杖(つえ)
写真①は、ナチスドイツ国家元師、ヘルマン・ゲーリングです。持っているのは(現代のバトントワリングに進化します。)プロイセン軍の伝統を引き継いだデザインをベースに作られた彼自身のオリジナル指揮棒(バトン・クラウンステッキ)です。
この人は若い頃から、お洒落を自負する人物で、ナチス創立時から軍服やコート階級章・軍章など、他の将官とは違うオリジナル品を作る名人でもあります。この指揮棒バトンも宝石、金をあしらった類をみない物です。ナチスの制服や持物は、全てカッコよさを追及したのも有名な話しです。第二次世界大戦のドキュメントフィルムには必ず登場する姿です。
もう一人の写真③は、ドイツ国防軍最高司令部陸軍元師ヴィルヘルム・カイテルです。この場の写真は、終戦時ソ連軍に対する降伏文書に署名する歴史的な1コマの写真です。
卓上に置かれている指揮棒は、当時ドイツ陸軍の上級士官以上が持つものです(これもプロイセン軍からの伝統からデザインされた物)。写真④は指揮棒を拡大した写真です。飾りヒモが付いていて、デザイン的にも卓越した一品です。
黒づくめナチス親衛隊の黒づくめの軍服SSの記章(ガイコツ=トーテンコップ)は、プロイセン王国時代の騎兵近衛兵の胸印から持ちいれたマークです。軍服小物ステッキ・指揮棒に至るまで、すべてカッコよさと相手に強く見られる為にデザインされ作られたプロセスがあります。
⑤の写真は、第二次世界大戦、戦勝国アメリカ連合軍最高司令官ダグラス・マッカサー元師です。
敗戦国日本、同時厚木飛行場に、専用機B17で着陸し、タラップを降りる姿、片手をポケットに納め口にはコーンパイプをくわえたサングラス姿は、日本人に強烈な印象を与えました。
⑤の写真は、ヒフコリーの大曲りステッキを持ち、優雅さを漂わせています。戦後の写真かもしれませんが、ドイツ軍とは対称に、人間臭さや親しみさを感じます。
では我国日本はというと、明治の国内西南戦争の抜刀隊、日露戦争時の白タスキ抜刀隊・白兵戦を得意とした精心性が前面に出てきます。全て偑刀が基本で、”武士の魂”としての日本刀を基本にサーベル軍刀仕立の物が、将官上・下士官に至るまで、すべて軍刀というのは、世界的にみて珍しいケースだと思います。
ステッキ屋としては、他人を魅了する形を追及する考えは同じです。しかし戦争は、残酷なもので、若人に憧れを持たせなければならず、1つのプロパガンダになります(ナチスのヒトラーユーゲント・日本の神国少年)。相手に恐怖を与えるのではなく、もっと言えば、度量の大きさを示すデザインの方が良かったと思います。
アメリカ軍は、軍服等カッコよさはありません。あるのは戦闘時の合理性の追求です。それに加味されるのが、明るいヤンキー気質です。明るいと言う事が”力”になります。
ステッキに求められる物は、デザイン性と機能ですが、本当に見せる物は持ち手の心の広さかもしれません。
マッカサーの写真は、いろいろな事を想う1枚です。
後書き:戦争を賛美する気持ちはまったく無い事を申しておきます。
教えて!!ステッキ
教えて!!ステッキでは、ステッキに関する知っておくと便利な情報についてまとめています。
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